第2クォーターに4本のスティールを記録する圧巻のパフォーマンスを披露
Bリーグ第3節、千葉ジェッツはホームでサンロッカーズ渋谷と対戦し、1勝1敗の痛み分けとなった。第1戦ではSR渋谷の石井講祐が劇的な逆転3ポイントシュートを沈め、ケビン・ジョーンズが第2戦でキャリアハイの50得点を記録した。千葉Jの富樫勇樹はオーバータイムにもつれた第2戦の死闘にピリオドを打つ3ポイントシュートを沈めるなど、好プレーが随所に見られた。前述のジョーンズの50得点や、第1戦でジョン・ムーニーが記録した28得点10オフェンスリバウンドなど、スタッツ面でも目を引くものがあったが、千葉Jの大倉颯太が第1戦で記録した5スティールもインパクト大だった。
第2クォーター、SR渋谷に連続で3ポイントシュートを決められ、悪い流れの時にコートに送り出された大倉は、チームディフェンスを立て直す役割を担った。コントロールしていたベンドラメ礼生のマークについた大倉は、パスコースを読み、ボールに手をかけてマイボールにし相手のファウルを誘発。 さらに残り6分には、フロントコートに侵入してきたベンドラメからスティールに成功し、そのままイージーシュートに持ち込んだ。
SR渋谷はたまらずタイムアウトを取ったが、大倉の勢いは止まらない。タイムアウト明け直後、今度はジョーンズのパスコースを読み、パスカットからワンマン速攻を成功させる。その後もディフェンスでチームを引っ張った大倉は、残り2分にもスティールから自身の得点に繋げ、第2クォーターだけで4スティールを記録し、チームに5点のリードをもたらした。
大倉は自身の守備について次のように語った。「(ディフェンスについては)今日に限ってやったことではなくて、毎試合やっていることです。もちろんスタッツに残ることはうれしいことですけど、僕一人じゃなくて周りの選手が良い位置でディフェンスをしてくれていたので、チームで記録したスティールだと思っています」
連続スティールが注目された大倉だが、本人は5を数えたターンオーバーに目を向けていた。「チャンスを安易に考えてしまい、ミスをしてしまいました。負ける原因となったターンオーバーはなくさなければいけないと思っています。でも消極的になった結果のミスではないので、ネガティブに考えず切り替えていきたいです」
富樫と西村に割って入る大倉「アグレッシブにオフェンスのペースを上げる」
大倉は特別指定選手時代を合わせて千葉Jで4年目を迎えたが、フルシーズンを戦うのは今回が初となる。同じポイントガードのポジションには富樫と西村文男がいて、彼らとの戦いに勝たなければプレータイムはもらえない。それぞれ強みは異なるが、185cmという高さは大倉にとって大きな武器となる。167cmの富樫や177cmの西村がミスマッチとなり得る相手に対し、大倉が高さで不利になることは少ない。また、小兵ガードが相手の場合、自らがポストアップすることもできる。1試合で3本のオフェンスリバウンドを記録したこともあるように、ゴール下の争いに強い点はアドバンテージとなり、「身体を張ったディフェンスやリバウンドをチームから求められているので、今後の試合でも出していきたいです」と、大倉は言う。
今シーズンから千葉Jの指揮を執るジョン・パトリックからはオフェンスでリズムを変化させることを求められているという。「オフェンスでは練習してきたことを遂行することもそうですし、ペースを速くしろと言われています。考えて状況判断をするよりも、アグレッシブにプレーしてオフェンスのペースを上げていくことを試合中に求められています」
実際に途中出場の大倉がペースを上げ、相手ディフェンスが整う前に攻め込む場面が多々見られ、パトリックヘッドコーチも「颯太は非常にアグレッシブに入ってくれました」と、高く評価した。
第1戦では好守が光った大倉だが、第2戦では約13分のプレータイムながらも少ないチャンスをしっかりとモノにし、5得点を挙げた。富樫や西村がいるため、プレータイムは限られるかもしれない。それでも、2人と異なる個性を持つ大倉がいることはチームにとって心強い。
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