エドワーズはリーグ屈指のエースキラーへの進化に期待
カール・アンソニー・タウンズの退場により窮地に陥りながらも、アンソニー・エドワーズとディアンジェロ・ラッセルの活躍により、プレーイン・トーナメントを勝ち抜き、久しぶりにプレーオフに進んだティンバーウルブズは、現状に満足することなくルディ・ゴベアをトレードで手に入れました。大きな対価を払ったため、層が薄くなることが懸念されましたが、フリーエージェントに人気がなかった過去とは違い、カイル・アンダーソンやブリン・フォーブスの獲得にも成功し、充実したオフとなりました。
どこからでも得点できるタウンズと、ゴール下専門のゴベアは同じセンターでも役割が被ることはなく、ハッスルしすぎてファウルトラブルが多いタウンズを、安定したリムプロテクトで助けてくれるゴベアは、お互いの弱点を補いあう事もできます。昨シーズンはビッグラインナップが流行の兆しを見せたこともあり、ウルブズのツインタワーは時代の流れにも沿って問題なく機能するでしょう。
一方でドライブ能力が高いエドワーズにとっては、インサイドに選手が増えることは好ましい状況ではありません。3ポイントシュートが向上しているため、問題なく得点は奪うでしょうが、エドワーズが躍動するスペースが減ってしまうことは、個人としての成長を妨げてしまいそうです。ただし、昨シーズンはディフェンス面で劇的な成長を見せており、ゴベアのリムプロテクトが加わることで、より激しいプレッシャーが可能にもなるため、リーグ屈指のエースキラーへと進化する期待もあります。
ラッセルにとっては、ゴール下のターゲットが増えることで、アシスト能力を発揮するチャンスが増え、ビッグマンを囮にした3ポイントシュートも含めてプレーはしやすくなります。コート上では何も問題はなさそうなラッセルですが、ゴベアの高額サラリーが加わったことで、今シーズン限りの契約を延長できるか微妙な状況になってしまいました。ツインタワーの形成はエドワーズとラッセルに様々な影響を与えることになりそうです。
ゴベアのトレードでは、ジャズ側がジェイデン・マクダニエルズを要求したものの、ウルブズが拒否したと伝えられており、マクダニエルズを主力のウイングとして考えていることがうかがえます。単なるツインタワーだけでなく、エドワーズとマクダニエルズが並べば、ウルブズはリーグで最も大きなラインナップを形成できます。高さと運動能力で強引にねじ伏せるようなスタイルに、ラッセルの知性が絡めば、極めて特殊な構成で止められないチームになりそうです。
主にディフェンスの強化を図ったゴベアの獲得だったため、間違いなく失点は減りますが、重要なことはリーグトップだった得点を落とさずに戦えるかどうかになります。プレーオフではポイントガードを2人並べるなど、スピードとアウトサイドシュートを重視していただけに、ビッグラインナップを機能させることができるのか不安もあり、どのような形でツインタワーを機能させるのか、戦術面の工夫が注目されます。