ゴラン・ドラギッチ

指揮官が感謝「ゴランがいることでルカの負担は軽減される」

スロベニア代表はユーロバスケットの前回大会王者であり、昨年の東京オリンピックで準決勝進出と結果を出している。今回のユーロバスケットにもルカ・ドンチッチが参加し、優勝候補の一つと見なされている。

ワールドカップ予選のドイツ戦では敗れたが、試合後の会見に臨んだヘッドコーチのアレクサンダー・セクリッチは「常にベストを発揮しなければならない」と集中力を欠いたチームを叱責したが、ユーロバスケット開幕前に良い教訓が得られたと考えている。

会見に同席したゴラン・ドラギッチに目をやって「ゴランのような経験豊富なリーダーがいて、ルカがコート上で見せている才能がある。ゴランがいることでルカの負担は軽減される。大きな助けになっているよ。我々はもっと良いチームになれると思う」と語った。

ドラギッチは東京オリンピック終了後に一度は代表引退を決断したが、今回はそれを撤回して代表チームに戻ってきた。指揮官は「昨年、オリンピックの世界最終予選を戦ってベスト4まで進んだチームは我々だけだ。つまり、1年間ずっと休むことなくバスケをやり続けてきた。重い責任を背負って疲れ果てた時にはそういう感情にもなるだろう」と当時の心境を思いやり、ドラギッチの翻意を歓迎した。

ガードとしてチームを動かし、エースとして勝負どころでボールを託されるのはドンチッチになった。5年前のユーロバスケットでMVPを受賞し、優勝の立役者となったドラギッチは36歳になって、一歩も二歩も引いた立場からドンチッチを支える役割を受け入れている。

NBAでもスター街道を突き進むドンチッチにとって、唯一の課題は精神面のコントロールだ。勝負にこだわる気持ちが強いのは良いが、それが上手く行かない時にはフラストレーションを爆発させてしまうことがある。大一番になれば相手がわざとドンチッチにフィジカルに守り、トラッシュトークを仕掛けてイライラを誘うこともあるだろう。

それでも、そこでドラギッチは彼のストレスを軽減させられる。「試合数がこれだけ多く、大事な場面でボールが入らず上手く行かなかったりすると、フラストレーションを感じるのは当然だ。でも、ルカは大事な試合をたくさん経験して学んでいる。きっと上手くいくと信じているよ」とドラギッチは言う。

このコメントがメディアを通じて伝わることで、ドンチッチは一つ落ち着くことができるはず。ユーロバスケット連覇に向け、ドンチッチはもちろんドラギッチのベテランらしい貢献にも注目したい。