琉球ゴールデンキングス

文・写真=鈴木栄一

第1クォーターを29-6と圧倒、そのまま押し切る

10月26日、琉球ゴールデンキングスがホームで川崎ブレイブサンダースと対戦。第1クォーターでいきなり23点の大量リードを奪うと、途中で差を詰められるも最後まで崩れることなく68-60で勝利した。

第1クォーター、琉球は並里成を起点としたオフェンスで川崎の守備を崩していく。さらに攻守の素早い切り替えから何度もイージーシュートの場面を作り出すことで、このクォーターはフィールドゴール18本中12本成功と驚異的な成功率をマーク。攻守で琉球が圧倒し、いきなり29-6と大きく突き放した。

しかし、第2クォーターに入ると川崎も徐々に反撃。ニック・ファジーカス、シェーン・エドワーズ、バーノン・マクリンを同時起用するビッグラインアップを使うと、マクリンとファジーカスで計16得点とゴール下で加点。一方の琉球はこのクォーターでターンオーバー8つと拙攻が続き、34-25と一桁まで点差を詰められて前半を終える。

第3クォーター、川崎は出だしからファジーカス、エドワーズ、マクリンのビッグラインアップを起用し、一気に勝負をかける。この成果もあり、残り約5分には藤井祐眞のスティールからの速攻でマクリンがダンクを沈め、3点差と肉迫する。だが、琉球はジェフ・エアーズの3ポイントシュートを機に立ち直り、そこからの連続得点ですぐに再びリードを2桁に戻す。

琉球の12点リードで迎えた第4クォーター、なんとか反撃をしたい川崎だが、最初の4分間で挙げたのは4点のみと、再び得点が止まってしまう。残り約3分半、琉球が橋本竜馬の3ポイントシュートで64-48と突き放すと、そのまま余裕の展開で押し切った。

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川崎のオン「3」に日本人選手で対抗した琉球

この試合、大きな注目点となったのが、川崎がこれまで使ってこなかった実質オン・ザ・コート「3」を多用したこと。川崎の北卓也ヘッドコーチは、その意図を「ここまで点を取れないと、いろいろと変えないといけない。前もって予定していたというより、使わざるを得なくなった状況でした。練習もしていないですから、ある意味でどこまでできるか賭けでした」と、止むに止まれぬ面もあったと言う。その上で「練習もやっていない中ではそこそこできました。ディフェンス面の心配もありますが、68点に抑えてくれています」とある程度の手応えは得た模様だ。

ただ、このオン「3」は琉球の佐々宜央ヘッドコーチが「今、川崎さんはチーム状況として苦しく、使ってくるだろうなと用意はしていました」と振り返るように想定内であった。この対策として琉球がアイラ・ブラウン、ジェフ・エアーズ、ジョシュ・スコットのオン「3」で対抗する場面がほとんどなかった点については、「ウチの良さは古川(孝敏)、田代(直希)、須田(侑太郎)と外国籍を相手にしても守れる選手がいるところ」と、フロアバランスや連携を考えると、日本人選手たちに任せた方が効果的と考える。実際、日本人選手たちが主にマッチアップしたエドワーズは6得点に終わっている。

また、佐々は第1クォーターでの大量リードが第3クォーター途中に4点差にまで迫った時も焦りはなかったと振り返る。そこにはあくまで自分たちは、川崎に挑む立場であり、簡単に勝てるほど甘くはないという意識づけが徹底されていたからだ。

「川崎ブレイブサンダースの方が格上であり、僕らはアンダードックです。周りからタレント集団といわれても、僕らには今、代表に定着している選手がいない。そこで試合に臨む設定を間違えてはいけないです。詰められた時も、僕自身はとても冷静でした」

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悩める川崎は4連敗「どうしても得点が入らない」

これで痛恨の4連敗で、シーズン序盤とはいえ黒星先行となった川崎だが、課題は「どうしても得点が入らないです」と指揮官が嘆くオフェンスの停滞であり、この連敗中の得点は67、46、56、60と散々たる状況だ。しかし、明るい話題もある。この試合ではファジーカスが、これまで23分以下のプレータイムだったのが、「ニックが今日33分プレーしました。彼が入ることで、ズレはできていると思います」と、大黒柱のコンディションは上がっている。

今日、なんとしても連敗ストップと決意を持って試合に臨む川崎だが、琉球も「明日の川崎は、今日よりも強いです。アンダードッグとしてもっと相手を食いつぶすという意識を持たないといけない」と佐々ヘッドコーチが語るように、より闘志を高めて連勝を目指す。どちらがアグレッシブかつタフに戦えるのか、今日の2試合目がより白熱した試合が期待できそうだ。