リッキー・ルビオ

大きなプレッシャーと向き合う若手の支えに

リッキー・ルビオは昨シーズン途中に左膝前十字靭帯断裂の大ケガを負った。円熟のプレーメークで若いチームメートを引っ張り、20勝14敗とキャバリアーズを好スタートに導いていたが、12月28日のペリカンズ戦でケガを負い、そのままシーズン終了となった。

その後のリハビリ期間においては弱気になった時期もあり、スペインのメディアに「息子も小学校に入るし、家族を優先させることを考えればNBAにこだわる必要はなくなるかもしれない」と語ったこともあった。

31歳で、左膝の前十字靭帯断裂は2度目。状況は厳しいが、本人以上に彼を信頼していたのはキャバリアーズだった。今夏にキャブズは3年1840万ドル(約25億円)のオファーを提示。前十字靭帯断裂からの復帰には通常1年を要するとされ、開幕には間に合わないだろうが、キャブズはそれを意に介していない。

それはチームの精神的支柱、若い選手たちへの模範として、ルビオに高い価値を見いだしているからだ。身体能力や技術だけでなく、大きすぎる期待と注目にどう向き合うかのメンタルが、NBAで頭角を現しつつある若い選手にとっては難しい課題となる。ルビオは14歳でプロデビューし、16歳でユーロリーグでプレーしていた。21歳でNBAにやって来て、良い時期も悪い時期も経験しながら、常に精神力の強さを示してきた。

ダリアス・ガーランド、エバン・モーブリー、アイザック・オコロ、移籍の噂があるコリン・セクストンも含めてキャブズには伸び盛りの若手が多数在籍し、彼ら全員が大きな期待と注目を受けて、プレッシャーと向き合わなければいけない。そこでメンターとしてのルビオの存在は必要となる。

そして、リーグに新たな驚きを提供しながらもプレーイン・トーナメントで敗退した昨シーズンから成績を上げるためにも、ルビオのプレーが必要だとキャブズは考えているのだろう。前十字靭帯断裂は選手生命を左右するケガだが、スキルとバスケIQは衰えない。

ルビオ自身も、メンターだけをやるつもりはないはずだ。若い才能が揃って充実するキャブズだが、真の意味で飛躍するにはルビオのようなベテランの知性と経験が欠かせない。キャブズが真の強豪へとステップアップする1年となるか、ルビオの復活と合わせて注目したい。