男子日本代表

渡邊雄太の負傷退場を乗り越えての勝利に「チームとしてステップアップできた」

『アジアカップ2022』の決勝トーナメント初戦で、バスケ男子日本代表はフィリピン代表と激突した。大黒柱の渡邊雄太が後半早々に負傷退場するアクシデントに見舞われながらも、102-81と大差をつけて勝利し、オーストラリアと対戦するべスト8へ駒を進めている。

日本代表は出だしからエンジン全開でフィリピンを圧倒した。須田侑太郎が今大会初となった先発起用の期待に応えて3ポイントシュートを射抜くと、富樫勇樹、渡邊も長距離砲を沈めていき先手を取る。そしてセカンドユニットもこの勢い乗ってアグレッシブなプレーを見せることで、第1クォーターにいきなり32-16と大量リードを奪った。

第2クォーター序盤、集中力に欠ける時間帯が生まれフィリピンに連続得点を許してしまう。しかし、日本はここでタイムアウトを取ると、直後に富樫が3ポイントシュートを沈めるなど悪い流れを断ち切り、第1クォーターの点差を守ってハーフタイムを迎える。

そして第3クォーターに入ると冒頭で触れたように渡邊の負傷退場と痛恨のアクシデントが起こるが、ここで富樫、ルーク・エヴァンスと主力メンバーたちが要所で得点を重ねていき主導権をキープすると、フィリピンに付け入る隙を与えることなく逃げ切った。

指揮官トム・ホーバスはこう試合を振り返る。「私たちにとって本当に重要な試合でした。渡邊雄太が負傷した後、チームはよくまとまってプレーできました。素晴らしい勝利で、チームとしてステップアップできました」

この試合、序盤から審判がファウルをなかなかコールしないこともあり、どんどんコンタクトが激しくなっていった。「このような試合で私も熱くなってしまいました」と語ったように、ホーバスも何度か声を荒げる場面があった。ただ、そういう状況でも選手たちは冷静で、何よりも相手の激しさに一歩も引かなかったことを指揮官は称えた。「今日の勝因は自分たちのバスケットボールができたこと。そしてフィリピンのフィジカル、インテンシティに対抗できたところです」

また、渡邊が負傷退場した後も崩れることなく自分たちのやるべきプレーを継続できたことにホーバスは満足している。「雄太の故障は悲しいですが、残りの選手たちのプレーはハッピーでした。雄太はスーパースターで得点を挙げ、リバウンドを取ってくれます。彼がいなくなったあと私たちのシステムを機能させるには、みんながより力を出す必要があり、誰か一人に頼ることはできなかったです。その中でチームとして良い戦いができました」

次の相手は優勝候補の筆頭といえるオーストラリアであり、若い日本代表にとってはさらなる成長へ向けた経験を積める貴重な機会だ。そして7月1日のワールドカップ予選Window3で52-98と大敗した相手でもある。富樫、渡邊を除く10名はこの試合でプレーしており、雪辱を期す大一番だ。

「オーストラリアは強敵で、数週間前に大差で敗れてしまいました。ただ、この対戦を楽しみにしています。強大な相手にチャレンジできることに興奮しています。チャンスは絶対にあります。リベンジマッチです」とホーバスは意気込む。

渡邊の出場はかなり厳しい状況だが、前回の対戦から若い選手たちがどれだけ成長できたのか、その成果を見せることでアップセットを起こしてもらいたい。