男子日本代表

1試合27本の3ポイントシュート成功は、ここ15年間におけるアジアカップ最多記録

アジアカップ2022、バスケットボール男子日本代表はグループリーグ2試合目でシリア代表と対戦し117-56で圧勝した。シリア代表のルーズなディフェンスに助けられた影響はあるが、それでも3ポイントシュート52本中27本成功と長距離砲が大爆発。守っても激しくプレッシャーをかけて15スティールを奪取と、攻守で日本の目指すバスケットボールを遂行する会心の勝利だった。

指揮官トム・ホーバスは第一声で「最初から最後まで良いゲームだったと思います」と語り、攻守の両面についてこう振り返った。「シリアはトライアングル・ツーとかボックス・ワンとかいろいろなゾーンディフェンスをやってきましたが、ノーマークができていました。最初からシュートが入って良いリズムで、良いエナジーでプレーしました。ディフェンスは最初、フルコートのトラップなどもやりましたが、思ったより上手くいかなくて、逆にパスアウトから簡単にシュートを決められてしまいました。トラップではなくベースディフェンスにしてから、みんな落ち着きました」

この試合のハイライトは言うまでもなく、須田侑太郎の9本成功を筆頭に27本もの3ポイントシュートを決めたことで、過去15年間におけるアジアカップでの1試合最多記録となった。そしてホーバスは「シュートのセレクションは良かったです。よくボールを動かし、シューターにオープンで打たせることができていました。シューターがノンシューターにパスをするなど、悪い形でのショートはほとんどなかったです」と、シュートの質についても満足している。

「例えばパスを多く回しすぎたり、シューターが打たずにドライブを多く仕掛ける。ドライブが役割の選手が、3ポイントシュートを打ち始めるとリズムがおかしくなってしまいます。今日はそういうことはなかったです」

須田侑太郎

「ここで得た自信は継続することができる」

それぞれの役割という部分でいうと、渡邊雄太がチームの絶対的な軸であることは間違いない。ホーバスも渡邊がもたらす影響力の大きさをこう語る。「渡邊雄太はチームを大きく助けてくれています。3ポイントシュートが打てて、守備ではゴール下を守ってくれるストレッチ4が欠けていましたが、それを彼が担ってくれています。彼がストレッチ4にいることで、相手は彼のシュート、ドライブを警戒しなければいけない。それにより他の選手がオープンになります」

ただ、同時に指揮官は全員バスケこそが日本代表の戦い方と続ける。「すべての選手に、チャンスで攻めるゴーサインを出しています。みんながNo.1オプションで、このチームにNo.2オプションはいません。自分の役割であり、他の選手の役割を分かっていれば、楽しんでプレーできます。今日、僕たちは34アシストを挙げました。これは本当に多い数字でみんながシューター、チームメートを探したからです。全員がお互いを信頼し、守備ではプレッシャーをかけなければいけないのが役割と分かっています」

これまでの日本は3ポイントシュートを大きく重視するオフェンスを展開していながらも、及第点の目安となる成功率40%をなかなか超えることができずに苦しんでいた。相手のディフェンスに緩慢な部分があったとはいえ、公式戦でこれ以上ない結果を出せたことは大きな意味があるとホーバスは強調する。

「シューティングとは自信です。チャンスでシュートを決めることで自信はどんどん増していく。私にとってこれは大きなことです。イラン戦で今日の成功率を持ち越せるかは分からないです。ただ、この試合で得た自信は継続できます。シューターたちが高確率で決め、彼らのハードワークが報われる姿を見られてハッピーです」

次戦はいよいよグループリーグ1位通過をかけ、強豪イランと対戦する。ベスト8で早くも優勝候補の大本命オーストラリアと戦うことを回避するには勝利が絶対条件だが、この試合でつかんだ勢いに乗って今大会最初の山場を乗り越えてもらいたい。