川島悠翔

得点王とMVP、U16アジア選手権では「自分のやってきことを出し切れてよかった」

6月中旬に開催されたU16アジア選手権で男子日本代表は史上初の決勝進出を果たし、現地7月2日からスペインで始まるU17ワールドカップへの切符をつかんだ。この立役者となったのが福岡大学附属大濠2年の川島悠翔だ。

グループリーグ1位通過を決めたフィリピン戦で26得点18リバウンドを挙げると、ワールドカップ行きを確定させたインド戦では32得点17リバウンド。さらに準決勝のニュージーランド戦では38得点の大暴れと5試合で平均26.6得点を稼いで得点王に輝き、大会MVPを受賞した。いよいよ始まる本大会において、日本が世界の列強を相手にどこまで戦えるかは、川島がエースとしてどれだけチームを牽引できるかが大きな鍵となるのは間違いない。

「世界に進出するチャンスで、自分のできるすべてをやろうと思っていました。その中で得点王、MVPに選ばれましたし、自分のやってきたことを出し切れてよかったです」

このようにアジア選手権を総括した川島は、相手のレベルも大きく上がるU 17ワールドカップに向けて、特に高さ対策を意識している。「(決勝で敗れた)オーストラリアの高さが世界では当たり前になってくるのでそこに対応しないといけないです。ゴール下のレイアップとかが難しくなってくるのでジャンプシュートを今、練習しています」

「最終的な目標はNBA」と公言する川島にとって、今大会はチームとして一つでも多くの勝利を挙げることに加え、個人としても世界に自分の存在を知らしめる絶好のチャンスだと意気込んでいる。「八村(塁)選手を追いかけているので、八村選手と同じく得点王を取れるように頑張ります。八村選手はU17ワールドカップをきっかけに世界進出をしたと思います。NBAに繋がるようなアメリカの大学に行きたいので、そういった意味でもアピールしたいです」

川島悠翔

今大会で活躍し、アメリカの強豪校から注目される存在になることを目指す

川島が語るようにウィザーズの八村は、2014年のU 17ワールドカップで平均22.6得点をマークして大会得点王になった。特にアメリカ戦、38-122と一方的な敗戦だったが八村個人としては25得点と獅子奮迅の活躍ぶりだった。このプレーがアメリカでの評価を大きく高め、強豪ゴンザガ大からオファーを受けることに繋がった部分はあるはずだ。

今大会、日本は幸か不幸かグループリーグでスペイン、リトアニアという欧州の難敵と対戦する。ここで大きなインパクトを残せば、八村のようにアメリカの関係者に大きくアピールできることは間違いない。その中で川島本人も十分に自覚しているが、アジアと世界では高さ、フィジカルなど様々な部分でレベルが違う。ただ、川島は昨年、飛び級でU19ワールドカップに出場と、すでにレベルの差を経験している。そして、大会で消化不良に終わった悔しさを成長へのバネにしてきた。

「U19では一番年下で出て、いきなりの世界の舞台で何もできなかったと思っています。世界の強さ、レベルの違いを痛感しました。この前のNBAドラフトでもU18で活躍した選手が指名されています。そういう選手を目指すことを意識して練習しています」

具体的に言うと、大会MVPだったチェット・ホルムグレン(アメリカ)は今年のNBAドラフトで全体2位指名を受けた。また、全体6位のベネディクト・マサリン(カナダ)、全体27位のニコラ・ヨビッチ(セルビア)とそれぞれ日本は対戦しており、川島は文字通りNBAに行ける選手がどんなレベルにいるのか目の前で見ることができた。だからこそ「U19で経験したことを今回のU17でちゃんと生かしていきたいです」と語り、世界屈指の逸材が相手であっても同世代の選手たちに遅れを取るつもりはない。

日本代表の指揮官のアレハンドロ・マルチネスは「ワールドカップに参加する選手たちの中で、おそらく10人近くがこの後NBAに入っていくようなレベルの選手たちだと思っています」と、大会のレベルを見ている。そこで得点王のインパクトを残すことができれば、川島が望むNBAに向けた道がより大きく開ける。それは日本代表への躍進にも繋がっていくだろう。