「応援してくれる方々の存在が僕たちのすべてです」
琉球ゴールデンキングスは、宇都宮ブレックスとのファイナル第2戦に最後まで食い下がる粘りを見せたが、届かずに75-82で敗れた。
前日の第1戦、第4クォーターに5-26と大ブレーキで敗れた琉球は今日も第1クォーターでオープンシュートの機会を作るも決めきれず出だしで0-9と出遅れてしまう。そのままゴール下の攻防で後手に回った琉球は前半を30-38で終えた。
第3クォーターに入ると、ディフェンスリバウンドをしっかり取りきることで走る展開に持ち込むと、ドウェイン・エバンスが得意のドライブで得点を重ねて1点差にまで肉薄する。だが、第4クォーターになると、離脱者が多く実質的に7名のローテーションで回してきた影響が大きく、プレーの精度が落ち、残り4分で10点のリードを許してしまう。それでも、ここから岸本隆一の3ポイントシュート、アレン・ダーラムのバスケット・カウントなどで残り2分弱で2点差に詰め寄る意地を見せたが、もうひと押しができずに敗れた。
琉球の中心選手である岸本は、得意の3ポイントシュートが相手の徹底マークもあって9本中2本成功に留まり、10得点3アシストで終えた。ただ、後半に入ると冷静な状況判断からゴール下への効果的なドライブで味方のシュートチャンスを何度も生み出した。長距離砲が不発でも別のプレーでチームをしっかりけん引できるところは、まさに今シーズンの進化を証明していた。
試合後の会見で、激闘のファイナルを岸本はこのように振り返った。「一言で自分の気持ちを表すのは難しいです。昨日、今日の試合で言うと悔しいですが、素晴らしいチームメイトと最後まで戦ってきた気持ちもあります。そしてブレックス が本当に強かった印象です」
もちろん勝てなかったことへの大きな悔しさ、失望はある。ただ、多くの戦線離脱者を乗り越え、レギュラーシーズンのリーグ最高勝率を記録し、悲願のファイナル初出場とチームの歴史に大きな足跡を刻んだことへの充実感もある。「チームメートのケガとか、コート外においていろいろあった中で、逆境を最後は乗り越えられなかったですが、そこに立ち向かっていくのが今シーズンに限らずキングスが歩んできた歴史です」
「それを一つ体現できたとは言わなくとも、自分たちの可能性は示せたと思います。正直、今は整理がついていないですが、チームメートとこの場所に来ることができたのは僕にとって大きなことでした。おそらく、長い人生で必ず思い出すシーズンになりました」
琉球というチーム、そして岸本が勝利と同等、もしくはそれ以上に重要視しているのは『沖縄をもっと元気に』という理念を体現するプレーを見せること。自分たちの戦いを通して、沖縄の人々、地域に活力を与えることが自分たちの存在意義であると肝に命じているからこそ「応援してくれる方々の存在が僕たちの全てです」と語る。
岸本は「シーズンを通して応援していただいて感謝しています。だからこそ今日の結果に関してはすごく申し訳ないと思っています」と続けたが、琉球ファンは彼に申し訳ないと思ってほしくないはずで、Bリーグになってから初のファイナルへと導いてくれたことに感謝の気持ちしかないだろう。
記録と記憶に残るシーズンを終え、岸本は最後にこう締めくくった。「良い経験になったと言えるのは、これからの僕たちの行動次第だと肝に銘じています。今すぐは前を向けませんが、気持ちの整理がついた時に、次に向かって前進できたらと思います」
新シーズン、琉球はファイナル進出からのリーグ初制覇を目指すことになる。今シーズンよりチームが前進するためには、引き続き岸本の存在が欠かせない。
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