文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

「自分たち一人ひとりが強気で攻める覚悟を持ってやれば」

11月6日に行われたBリーグ第7節、アルバルク東京との第1戦。秋田ノーザンハピネッツにとっては重い一敗となった。これで通算成績は2勝11敗。ただ、これまでで一番『力の差』を感じさせられた敗戦だったのではないだろうか。個人能力でも組織でも大きな差があった。

田口成浩はこの大敗を「自分たちの良さを出せず、相手が良さを出した試合」と振り返る。「ゴールもリバウンドもディフェンスも、相手にやられちゃいけないところがあるのですが、そこがほとんどやられてしまった。ある程度、能力や経験は向こうのほうがあるかもしれませんが、自分たちは組織の部分で上回らないと」

選手個々がひたむきに頑張ること、そしてチームとして戦うことが秋田の持ち味であるはずだが、後者ができていなかったことを田口は悔やむ。「細かいルーズボールや助け合うプレーは、何があっても負けられないところ。そこを出せなかったのがすごく悔しいです。そこは自分が声を出して鼓舞していかないと。これだけのブースターが入って、ここまで応援していただいているので。ゲームが終わるまで緩むことなくやっていきます」

田口はこの試合で両チーム最長となる34分間プレー。持ち前のエネルギッシュなプレーでA東京に挑みかかったが、個も組織もトップレベルのディフェンスを突き崩すには至らなかった。特に第1クォーターはわずか6得点と抑え込まれた。「プレッシャーは激しいのですが、ファウルになってないということは、しっかり取りに来るというより相手のパスの受けどころだったり、身体を張って手を伸ばして相手の嫌なところをディフェンスしてきています」と、田口は相手の守備のやり方を分析する。

「取りに来ていないということは、自分たちがプレッシャーに負けているということ。そこで冷静にピボットを踏んだり、パスフェイクしたりを考えないといけないのですが、プレッシャーを感じてパスが合わなくなる。ノーマークも一瞬を逃すとノーマークではなくなってしまうので、プレッシャーに負けることなく精度を上げていくしかないです」

明日の試合に向けて何をすべきか、田口が語ってくれた。「負けちゃいけないところで負けないこと。そうして自分たち一人ひとりが強気で攻める覚悟を持ってやれば、前回のホームでの試合みたいな展開になってくると思うので。やる前からプレッシャーを感じることがないように、明日は切り替えてやります」

「もう一度作り直すにしても、明日の試合内容がすごく大事」

完敗の試合で収穫があったとすれば、いつ気持ちが折れてもおかしくない試合展開の中でも、チームとして最後まで戦う姿勢を貫いたことだろう。「何度折れかけたか!」と田口は精神的にキツい試合だったことを素直に認めつつも、「でも、自分がそういう姿を見せたら、全員をそういう気持ちにさせると思うので、最後まで気持ちを折らないように、折られないように我慢していました」と語る。

秋田にとってはなかなか結果が出ない我慢の時期になっているが、ただ足踏みしているわけではない。「プレシーズンに比べれば呼吸はかなり合ってきています」と田口は言う。「一人ひとりに良さがあって、それをどう生かしてあげればいいか、それぞれ分かってきています。今日はオフェンスファウルが何個かありましたけど、それも自分たちが意識しているところで、その精度を上げていけば、それぞれの良さがもっと出てきます。今日はミスになってしまいましたが意識はできているので、そこはチームとして上向いているところです」

シーズンはまだ長い。目の前にある試合に集中して勝利を積み重ねていくことはもちろん必要だが、少なくとも年内はチームをいかにレベルアップさせるか、成熟させることも重要である。その点で今の秋田は出遅れているのかもしれないが、挽回するための時間はまだ十分にある。

田口は言う。「明日まだ試合があるので、まずはそこで自分たちのやろうとしていることをやります。チャレンジという気持ちをしっかり出します。バイ・ウィークにもう一度作り直すにしても、明日の試合内容がすごく大事になってくるので、チャレンジャーの気持ちでやります」

A東京との第2戦は11月7日の月曜ナイトゲームで、19時15分ティップオフ。