[CLOSE UP]岡田優介(京都ハンナリーズ)歩みを止めない32歳のシューター「まだまだ上手くなれる、その中で自分も上のステージに行ける」

2016/11/06
Bリーグ&国内
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文=大島和人 写真=B.LEAGUE

ディフェンスを見極め、後半の勝負どころで出し抜く

岡田優介は11月5日の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦でチームハイの20得点を挙げ、京都ハンナリーズが西地区首位の強敵を破る立役者になった。

前半5ポイント、後半15ポイント──。そんなスタッツについて問うと、岡田は「いつもそれを狙っています」と語り始めた。岡田が3ポイントシュートの名手であることは当然ながら対戦相手も分かっている。だからフリーで打たせない対応が取られる。しかし、岡田にはそれを試合の中で克服する老練さがある。

「前半は相手がどういうディフェンスで自分に対して守ってきているか。このプレーに対してこうやって守ってきている、というのを見る。それを後半に生かします。このプレーなら空くなというのは、30分やっていると感覚で分かる。それを第4クォーターの勝負どころで出す」

岡田がクレバーな選手であることは、そもそも説明不要かもしれない。彼は2010年に公認会計士試験に合格した『変則二刀流』のアスリートとして知られている。引退後にそのような難関資格を取得したアスリートの例はあるが、現役で、しかも当時は日本代表だったプロ選手が公認会計士試験に合格するのは基本的にはあり得ない話だ。岡田は2013年に日本バスケットボール選手会の初代会長に就任するなど、行動力や発信力も併せ持つ、バスケ界では稀な存在だ。

もちろん、どれだけ読みが良くても、メンタルやスキルを欠いていたら勝負どころで重要なシュートは決められない。岡田はまず気が強い。「『ここで決めたら』というところは逃さないようにしている。そこは絶対強気に行きます」と彼は言い切る。

「毎日何百本も練習している形。難しいとは思っていない」

5日の名古屋戦の第4クォーター、残り2分55秒の3ポイントシュートがまさに『ここ』に該当する場面だった。京都は最大11点差まで開いていた展開を4点差に詰められ、紙一重の状況に追い込まれていた。

「一番大事な時間帯だなと思った。そこで1点差、同点にされることがあったら展開的に厳しい。でもここで3ポイントを決めれば、トドメじゃないけれど、ズシンと来ると思った」

そこで岡田の取った行動が、まさに彼の真骨頂だ。「アレやれ、アレやれ」。そんなささやきで岡田は自分がシュートを打つコールをポイントガードの村上直に要求し、この日4本目の3ポイントシュートを決めてみせた。

岡田は動きながら、一見難しい体勢から放つシュートが多い。しかし彼は「他の人からは難しく見えるかもしれないけれど、それは自分が毎日何百本も練習している形。難しいとは思っていない。全部練習でやっているシュートだし、練習でやったシュートしか打たない。ノーマークでそのタイミングが来れば、高い確率で決める自信がある」と説明する。それだけの積み重ねをしてきたという自負が、彼にはある。

浜口炎ヘッドコーチも岡田をこう称賛する。「彼の良さはハードワークです。ディフェンスもよく頑張ります。それが僕の好きなところ。3ポイントシュートは入っていますけれど、それよりハードワークの部分がチームにプラスをもたらしてくれる」

売り出し中の中東泰斗を老獪に封じる「経験では僕が上」

知性と勇気、経験、そして努力が備わってこそ今の彼がある。名古屋戦で岡田が主にマッチアップしたのは同じくシューティングガードの中東泰斗。高いアスリート能力を持つオールラウンダーで、日本代表にも招集されている24歳の新星だ。

岡田は「すごく若くてエナジーもあって、ディフェンスもいい選手」と彼の能力を認めつつ「でも経験は僕が上なので」とほほ笑む。「ゲームの中でどうやって出し抜こう、どうやってファウルをもらおうかと。あとは、得意なプレーの瞬間をシャットアウトしたいと思っていた。自分は経験を積んでいる分、若い選手に対してこういう風に守ろうと常に考えている」

少なくとも5日の試合では、32歳の岡田に凱歌が上がった。ただ中東にとっても、こういう老練な相手と競い合ったことはきっと良い『レッスン』になっただろう。

岡田は2014-15シーズンに、クラブ経営の破綻に巻き込まれる辛苦も味わった。しかし京都ではヘッドコーチの信頼も得られ、キャリアは再上昇を果たしつつある。

岡田は言う。「組織的にプレーを組み立ててくれるので、その中で色んなチョイスを自分がしていく楽しさを感じている。色んな選択肢がある中で最善を採っていくことが自分の役割。まだまだ上手くなれるじゃないかと思うし、その中で自分も上のステージに行けると感じている」

2つのリーグが併存し、バスケ界が混乱している中でも、地道に努力を続けてきた選手たちがいる。岡田が10年遅く生まれてきたら、時代の追い風をもっとたっぷり受けられたのかもしれない。ただ、32歳という年齢は、努力や巡り合わせでまだ成長を期待できる頃合いでもある。選手会の会長は竹内譲次に譲り、今季から京都という新しい場を得た彼のもう一伸びと、若手への『レッスン』に期待したい。