文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

40分間フル出場で18得点を挙げるも勝利には届かず

横浜ビー・コルセアーズはホームの横浜国際プールに川崎ブレイブサンダースを迎えた。立ち上がりに先行を許しながらも第2クォーターに立ち直り、第3クォーターで逆転。第4クォーターも終盤までリードを保つ好ゲームを演じたが、最後は試合巧者の川崎にかわされ、悔しい敗戦となった。

川村卓也は40分間フル出場、18得点9リバウンド4アシストと獅子奮迅の働きを見せたが、勝利には届かず。「出だしが悪くて、追いかけないといけない展開を作ってしまったのが反省」と敗戦を振り返る。「18点離されても逆転できたのはチームとして成長した部分。でも、出だしの部分は全く成長していなかったので、それを繰り返してはいけない。特にホームゲームでは招いてはいけない展開です」

中地区首位の川崎は強かった。だが、明日も試合はある。この地区で上位に食い込むには、川崎相手にも勝てるチームに成長しなければならない。同地区の強豪について川村は「ニック(ファジーカス)が中心となって、内外問わず点を取ってきます。そこにヘルプしすぎると周りのシューターが生きてきたり」と分析する。

「でも、第2クォーターと第3クォーターは良いリズムで彼を止めていたし、イライラさせることもできていたと思います」。確かに、その20分間でファジーカスには3点しか取られていない。オン・ザ・コート「1」の時間帯は、あのファジーカスを抑えているのだ。だが、オン・ザ・コート「2」の第1クォーターには10点、そして最後の勝負どころとなった最終クォーターには12点を奪われている。

オン・ザ・コート「2」の時間帯の難しさを川村はこう説明する。「やはり(ライアン)スパングラー選手にディフェンスが引きつけられます。ダイブしてくる動きとか、裏を合わせる動きとか、かなりエネルギッシュな選手なので。あとは彼のオフェンスリバウンドの強みを分かっている分、ニックがシュートを打ちやすくなって、積極的に攻めてきます」

では、どう対策するのか。「ウチはジェフ(ジェフリー・パーマー)とジェイソン(ウォッシュバーン)がしっかりやってくれてますけど、他の選手がニックのショットでセカンドチャンスを与えないとか。そういうことでニックを止めることもできると思います。やっぱりチームとしてさらにもう一歩ステップアップしていくことで、こういう強豪に白星を挙げられるようになっていくのかなと思うと、明日も頑張れます」と川村は言う。

「チームは良くなっていると僕は思います」

開幕5連敗と不穏なスタートを切った横浜だが、前節はサンロッカーズ渋谷相手に連勝、この日も中地区首位の川崎を相手に最後までもつれる接戦を演じ、チームとしては上昇気配にある。「負けが先行している今なんですけど、先週はアウェーで連勝できたりとか、開幕前の不安を自分たちで払拭できるようになってきている。勝つことってチームにとってすごくプラスに働くんです。そういう勝ちを学んだ上で、チームを成長させたいんです」と川村は言う。

もっとも、この日も接戦を落とした。全力を尽くしても結果が出ないことに対する悔しい気持ちが、川村の言葉からは伝わってくる。「でも、勝ったことのないチームって、勝った後に緩くなるんです。そういうところの締めどころが、今のチームにはまだ欠けているのかなと僕は思うし。コーチも選手も、2連勝した後の火、水、木の練習で、いかにもう一歩の成長のためにハードにやれるか、なんです」

良くも悪くも、今の横浜は特定の何人かが引っ張るチームとなっている。川村は40分のフル出場、細谷将司も39分プレーした。「僕がこれだけプレータイムをもらって、僕以外の選手が疲れているってことはないです。僕だって全然やれていますし。僕は『疲れている』とは表では言わないです。40分間戦っても、それで勝ちに近付くのであれば僕は戦うつもりだし、練習もします。やっぱりそういうところで、チームって良くなっていくと思うので」

そして話は、やはり今日の敗戦、特に立ち上がりにビハインドを背負ってしまう悪癖へと戻る。「こうやって3400人もの方々が来てくれている中で、フワッと入っているわけではないんですけど、結果的にフワッと入る形になっています。その点はチームとして反省して、次にそういう展開を招かないようにしないと。それが今後、このチームにとっての大きな課題だと思います」

「でも、どうですかね?」と川村は集まったメディアに問いかける。「皆さんから見てビーコルは成長してないですか? 良くなっていると僕は思いますけどね」。川村は次の言葉で会見を締めくくった。「僕らが勝ったほうが皆さんは報道しやすいと思うので、明日は頑張ります。以上です、お疲れ様でした!」