アルバルク東京

文・写真=鈴木栄一

海外遠征を含むタフなスケジュールでも強さを示す

10月7日、アルバルク東京がホームのアリーナ立川立飛でサンロッカーズ渋谷と対戦。序盤から僅差で推移する熱戦となったが、最後はここ一番でのプレーの遂行力で上回ったA東京が87-79で勝利した。開幕直前までアジアチャンピオンズカップに出場し、この海外遠征を含めての10日間で7試合とタフな日程の中、3000人オーバーと満員のファンに王者の貫禄を示し、開幕連勝スタートを飾った。

この試合、A東京は田中大貴が左ハムストリング筋膜炎で欠場。さらにミルコ・ピエリッツアに代わりジャワッド・ウィリアムズをベンチ登録と変更する。ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチはこの意図をこう説明する。「アジアチャンピオンズカップでは外国籍を途中で変えることができなかった。大会でジャワッドはプレーしていなかったので、ここでゲーム感を取り戻してほしかった。逆にミルコはずっとプレーしていた。ここは、選手を変えるいい機会だった。3人の外国籍選手がいて、私たちのゲームコンセプトを失わないようにやりくりしていきたいと考えています」

第1クォーター早々、昨日の雪辱を期すSR渋谷が、ロバート・サクレのダンクなどで12-6と先行。しかし、A東京は終盤に正中岳城の連続3ポイントシュートを沈めて盛り返す。第2クォーター以降、渋谷は前日の28得点に続きこの日も25得点を挙げたライアン・ケリーとサクレの外国籍コンビ、ベンドラメ礼生を軸に得点を重ねて行く。しかし、A東京もウィリアムズや竹内譲次が得点を重ねて応戦し、激戦となる。

アルバルク東京

タフなA東京「これを経験できるのは優勝チームのみ」

それでも第4クォーターに入るとA東京が地力の違いを見せ、徐々に引き離しにかかる。70-70で迎えた残り約5分から馬場雄大の3ポイントシュート、アレックス・カークのジャンプシュートなどで約3分間に渡って怒涛の11連続得点。残り2分の時点で81-70と突き放して、試合を決めた。

A東京の指揮官パヴィチェヴィッチは、「コンディションが厳しい中、強い渋谷相手に2つ勝てました。選手たちにはよくやってくれたと言いたい」と、タフな日程を乗り越えた選手を称賛。そして「10月は平日開催もあって厳しいスケジュールが待っています。身体のケアをしつつ、しっかり試合のリズムに入っていけるようにしたい」とコメント。リーグ屈指の厳しい練習を課すことで知られる指揮官だが、明日と明後日の2日間、チーム練習をオフにしてリフレッシュを図る。

一方、2日続けての惜敗を喫したSR渋谷のヘッドコーチ、勝久ジェフリーは、「後半、特に第4クォーターは少しずつディフェンスの精度が下がってしまって25点も取られてしまいました。アルバルクさんがローテーションをしている中、僕の方で交代をしなかったのはミスかと思います。体力面で少し差が出てしまったのかと反省が残る試合でした」と敗因を語った。

この勝久ヘッドコーチが言及した選手層の差は、勝敗を分ける鍵となった。A東京はウィリアムズの19得点を筆頭に6人が9得点以上をマーク。逆にSR渋谷は、ケリー、サクレ、ベンドラメに攻撃が偏った。また、菊地祥平が「負担が少ないといえば嘘になってしまいますが、これを体験できるのは優勝したチームのみで、それを楽しめました。これで疲れたからと負けたと言うのは言い訳にしかならないです」と語ったように、まさにどんな状況でも勝利を追求する王者のプライドを示した開幕シリーズとなった。