前半に最大23点ビハインドの内容に前田HC「非常に悔しい敗戦となりました」
4月6日の水曜ゲーム。秋田ノーザンハピネッツは敵地に乗り込んでサンロッカーズ渋谷と対戦したが、オフェンスが沈黙し55-64で敗れた。この試合、秋田はティップオフ直後からSR渋谷のディフェンスに圧倒され、第1クォーターで7-23と出遅れてしまう。第2クォーターに入っても悪い流れを修正できず、前半残り3分には23点の大量リードを許してしまう。
ここから秋田らしい前から仕掛けるプレッシャーディフェンスで、相手のターンオーバーを誘発して流れを変えると、第3クォーター残り3分で4点差にまで詰め寄ったが、反撃もここまでだった。第4クォーターは再び渋谷に主導権を握られ押し切られた。
今、秋田はワイルドカード2位と、チーム初のチャンピオンシップ出場に近づいている。しかし、前田顕蔵ヘッドコーチは「自分たちは今、チャンピオンシップ圏内の中で、一番苦しい立場にいると思っています。カーディングも苦しいですし、その中で成長しないと目標とするところにはいけないです」と気を引き締める。
だからこそ、「非常に悔しい敗戦となりました」と指揮官は、まったく自分たちのやるべきプレーができなかった前半について反省しきりだった。「シーズン終盤の非常に大事な一戦という位置付けの中で、特に前半でチームを良い状態に持っていけなかった。自分の力のなさ、渋谷さんの気迫のこもったプレーとの大きな差を感じました」
古川「こういうことをしてしまうと振り出しに戻ってしまう」
チームリーダーの古川孝敏も、自分たちの不甲斐なさに失望感を隠せなかった。「チャンピオンシップ出場の目標がある中で、こういったバスケットボールをしてしまうのは相手どうこうというより自分たちの問題です。こういう試合をやっていては出られるチャンスはないと思います。ポジティブに捉えるのは難しいですが、ここからしっかり学んでやっていきたいです」
秋田加入前の古川はアイシンシーホース、栃木ブレックス、琉球ゴールデンキングスと強豪にずっと在籍してきた。そこで多くの勝利を味わってきた経験値は日本人選手の中で群を抜いている。この百戦錬磨のベテランをして、今シーズンのここまでの成長ぶりには一定の手応えを感じていた。それがゆえにこれまでの積み重ねを全く出せなかったことに大きな危機感がある。
「ここまでの試合で連敗したり、連勝できたりする中で、少し自分たちのバスケットが見えてきていました。負けた時でも自信につながる試合もありました。チームとして完璧ではないですが、少しずつ成長できている、仕上がってきていると感じてきていた中でこんなバスケットをしてしまうと……」
苦い表情を見せた古川は「僕も先発として出ていましたが」と自らの責任も痛感しながらこう続ける。「こういうことをしてしまうと振り出しに戻ってしまいます。シーズン序盤に多く見られた展開で、結局自分たちが何をやりたいのとなったときにできていない。相手に出だしでインパクトを与えられて、受け身になって自分たちのミスから自滅してしまいました」
踏ん張りどころだからこそ「今までできていた部分に自信を持ってポジティブに」
こう自分たちの未熟さを口にする古川だが、「また、最初のころに戻ってしまうのはもったいない」と、秋田のポテンシャルを信じている。そして、ここからは前のみを見て進んでいくだけと強調する。「今までできていた部分に自信を持ってポジティブにやっていきたい。下を向いてネガティブになるのではなく、そこは自信を持って全員で強く戦うことが大事です。そこから良いものが得られると思います」
秋田は9日、10日に川崎ブレイブサンダースと敵地で戦うと、13日にはホームで琉球。さらに16日、17日にもホームでワイルドカード3位のシーホース三河との直接対決とタフな試合が続く。古川は目の前の試合に集中するのみと考えている。
「僕個人としてはチームとして1つの試合を勝ち切れるためにどうするのか。そこにフォーカスを当てるべきだと思います。いろいろとアクシデントはあっても、それぞれが目の前の試合に対しての準備をしないといけない。先のことばかり見ずに、プロセスを大事にしてやれることをやっていきたいです」
チームの歴史を変える初のチャンピオンシップ出場の切符をつかむためには、秋田には乗り越えるべき大きな壁が待ち構えている。今回、大きな課題は見えたが、同時に23点差を一時は4点差にまで追い上げたのは着実に地力がついてきたことを示している。この負けを大きな糧とできるか、ここからチームの真価を問われる正念場を迎える。