チームハイの17得点を記録し、気を吐く
宇都宮ブレックスは3月19日、オーバータイムの末、レバンガ北海道に89-98で敗れた。第4クォーター残り1分で4点ビハインドの状況から一時は逆転するが、そこで勝ち切れずに喫した黒星を安齋竜三ヘッドコーチはこう振り返っている。
「前回に対戦した時の2試合目(11月7日、63-71で敗戦)と同じような我慢する展開でした。前回と一緒で勝負どころのリバウンドを取られ、オフェンスを何回もさせてしまう。そこはしっかり取り切れるようにしたいです。同じ展開になってしまったことで、僕が適材適所で選手を使えているのか、反省が残ります」
指揮官が言及したように、オーバータイムでのオフェンスリバウンドは北海道が4に対し、宇都宮が0。これによる攻撃回数の違いも明暗を分けるポイントなってしまった点は否めない。東地区の激しい上位争いにおいて痛恨の一敗となったのは間違いないが、ポジティブな材料もあった。ルーキーの荒谷裕秀が16分半の出場で13得点、そして喜多川修平が15分の出場でチームハイの17得点と、セカンドユニットの奮闘が目立ったことだ。
喜多川は敗因をこう語る。「リバウンドからのトランジションに気をつけなければいけないと入りました。前半はトントンで行けた部分はありましたが、後半になって勝負どころをリバウンドで繋がれて3ポイントシュートを決められてしまう。ターンオーバーをしてしまった部分と重なり、悔しい敗戦になってしまいました」
ただ、喜多川にとって今シーズン初の2桁得点を挙げ、中でも3ポイントシュートを4本中3本成功と高確率で沈めたことは明るい兆しだ。キャリアを通して40%前後の成功率をコンスタントに残してきたリーグ屈指の3ポイントシューターだが、今シーズンは20%以下の成功とスランプに陥っている。
「今シーズンはずっとシュートの感覚があまり良くないです。チームメートがキープシューティングと言ってくれている中、決め切れない部分がありました」。本人がこう語るように、調子が上がらずに苦しい時を過ごしてきたが、この日を含め4試合連続3ポイントシュート成功と復調しつつある。その背景には、精神面での変化が影響している。
「シュートだけでなく、他にできる仕事はゲームを通してあります。シュートだけにフォーカスしていた部分があったので、それだけでなく、1つのルーズボール、リバウンドでも勝利に貢献できるところをしっかり自分の中で落とし込む。そういう考えでここ数試合やれていることで、気持ちが少し楽になっています。シュートだけにこだわらない部分があります」
変わらないチームファーストの精神「チームの勝利を優先したい」
実際、この日の喜多川はレイアップでバスケット・カウントを獲得するなど効果的なドライブを繰り出し、オフェンスでも外角シュートだけにこだわらない部分を見せている。まだまだ続く週3日の過酷なスケジュールで好成績を収めるには、プレータイムのシェアがより重要となってくる。喜多川の調子が上がってくることは本人だけでなく、「修平は3ポイントシュートで今シーズン苦しんでいる中でも、こうやって良い感じで決めてくれました。そこは繋がると思います」と安齋ヘッドコーチが語るように、チームにとっても大きな意味を持つ。
もちろん喜多川にとって、シュートタッチが良くなり、今回のようにここ一番をコートの上で迎えられるのはいち選手として大きなやりがいがある。だが、同時にどんな起用法となっても、決してブレない信念がある。
「自分が最後、コートに立って試合に勝てるのは一番良いと思います。ただ、本当にコートにいない時間帯でもやれる仕事はあります。そういった意味でもチームの勝利を優先したいです」
指揮官が「ホームで2連敗は、自分たちのプライドとしてできない」と強調するように、今日の第2戦は宇都宮にとって大きな踏ん張りどころとなる。そこで勝利をつかむためには喜多川のコート内だけでなく、コート外の貢献も大切なものとなってくる。