滋賀に圧勝、出場時の得失点差は驚愕の+44
川崎ブレイブサンダースは3月9日、滋賀レイクスターズを相手に序盤から大量リードを奪い103-56と記録的な大勝を収めた。この試合、川崎はベンチ入りメンバーが全員得点を挙げ、大量リードにも集中力を切らさずにプレーを続けた。その結果が47点差の白星でチーム全員が自分のやるべきことをしっかり遂行したが、その中でも際立っていたのがパブロ・アギラールだ。
18分45秒のプレータイムで11得点6リバウンド4スティール3アシストと、持ち前のオールラウンダーぶりをいかんなく発揮。また、攻守においてチームの潤滑油としてのプレーも光っていた。それを示すのが出場時の得失点差を表すプラスマイナスの数字で、20分以下の出場時間ながら驚愕の+44を記録している。
「チームとしてすごく良いプレーができたと思います。序盤からしっかりと主導権を握り14-0のスタートを切れました。ディフェンス面では、自分たちが取り組んできたものをしっかり出すことができました。オフェンスはよくパスを回し、一番良い状態でシュートを打つことができました」
このように試合を振り返ったアギラールは、「総合的に最初から最後までやるべきことを徹底して勝ち切れました」と、内容にも大きな手応えを得ている。
川崎は代表ブレークを経てのリーグ再開初戦となる3月4日の信州ブレイブウォリアーズ戦に77-84で敗れたが、この試合を欠場したジョーダン・ヒースが復帰した翌日の試合で99-75とリベンジを達成した。そして、今回の圧勝劇とフルメンバーとなっての強さを見せている。
リーグ屈指の選手層を誇る川崎だが、それでもアギラールは「僕たちはチームです。誰か一人でも欠けたら痛手で、全員が揃ってこそのチームです」と、全員が戦力であると強調する。「これまでアクシデントやいろいろな事情でフルメンバーが揃わない状況が長く続きました。それで思い通りのバスケットができなかったところはありますが、先週の土曜日からフルメンバーとなって良いチームになっていると思います」
天皇杯優勝へ「スペインの国旗は準備しています」
今週の土曜日には千葉ジェッツとの天皇杯決勝戦が控えている。「千葉さんは素晴らしいチームで、昨シーズンのリーグチャンピオンです。日本人選手、外国籍選手の見事なコンビネーションが、彼らの強みだと思っています」と相手に敬意を払うアギラールは、勝敗を分けるポイントを次のように見ている。
「最も大変なのはサイズがあるので、ディフェンスでリバウンドをいかに取りきれるかです。全員でしっかりリバウンドを取りにいかないといけないです。オフェンスは今までやってきたことをやれば点は取れます。自分たちが積み上げてきたものを信じてやっていきたいです」
ようやくフルメンバーで試合をこなすことができ、川崎は大一番へ向けて役者が揃った。また、アギラール自身はブレーク明けの3試合ともいつも通り、質の高いプレーを見せており準備万端といった様子だ。それはバスケットボールに限ったことではない。
昨年の天皇杯、優勝後のセレモニーで母国スペインの国旗を掲げていたが、それは会場に詰めかけたファンから借りたものだった。しかし、今回のアギラールは「スペインの国旗は準備しています」と、その点も抜かりはない。
「さすがにベンチに置いておくのはまずいと思うので、試合を観に来る奥さんに預けます。優勝したら奥さんがチームのところに持ってきてくれる予定です。今回は自分の国旗をしっかり掲げます」
ゲームハイの得点やリバウンドなど、際立つスタッツを記録することはないかもしれないが、アギラールの真骨頂は数字に出ない部分での貢献度だ。彼や長谷川技といったいぶし銀の職人たちが本領を発揮した時、川崎は連覇を達成し、再びアギラールがスペインの国旗を掲げ喜びを爆発させているだろう。