クリント・カペラ

改善しないディフェンスに「チームで乗り越えないといけない」

ホークスのレギュラーシーズン前半戦は28勝30敗と冴えないものだった。オフェンスレーティングではジャズに次ぐリーグ2位でありながら、ディフェンスレーティングは昨シーズンの17位から大きく後退する27位。攻めに意識が偏り勝ち星が伸びないのは明らかだ。ホークスのセンターでディフェンスの中心であるクリント・カペラは「正直に言えば、これは予想できていた」と語る。

一番の問題はケガ人続出と健康安全プロトコル入りする選手が多かったことで、若手中心のホークスは精神的にもリズムを崩した。「多くの選手を欠く状況で、僕らはプレーオフを意識するようになった。本当は目の前の試合だけに集中し続けた結果としてプレーオフがあるべきだけど、若いチームにとっては簡単じゃない。でもそれは経験が不足していただけの話で、僕は心配していない」

「昨シーズンよりチームの意識はオフェンシブで、ディフェンスにプライドを持っている選手は少ない。試合中の僕は意識のほとんどを守備に向けているけど、チームがこれでは難しい。誰が悪いという問題じゃないんだ。チームで乗り越えないといけない」

ホークスのディフェンスが破綻している以上、守備の要であるカペラの評価が上がらないのは当然のこと。それでも彼は黙々と自分のやるべきことに取り組んでいる。得点が15.2から10.7に、リバウンドが14.3から12.1へとスタッツを落としているし、センターにも幅広いプレーが求められる今、キャリアで1本たりとも3ポイントシュートを打たないオールドスタイルであるカペラに注目が集まることはほとんどない。それはカンファレンスファイナル進出と躍進した昨シーズンも同じだった。

それでも、ホークスがここから浮上するには、彼の存在は欠かせない。リムプロテクターとして相手のビッグマンを抑え込み、ショットブロックの脅威を与え、リバウンドを確保するのはもちろん、オフェンスでもトレイ・ヤングの活躍をスクリーナーとして支え、常にアグレッシブにダイブすることで貢献している。

今シーズンはスキル面にも成長が見られる。アシストは昨シーズンの0.8から1.4へと伸び、ロケッツ時代の17-18シーズンに記録したキャリアハイに並んでいる。その時には1.4、昨シーズンには1.2だったターンオーバーは0.6に抑えている。『不器用で古臭いセンター』にしては異例の変化だ。もともとセンターはターンオーバーが多いもの。ピック&ロールのパスは時間もスペースもないところで受け取ることになり処理しづらいし、アウトサイドへ出すパスはディフレクションを狙われる。無理に仕掛けるしかない状況ではトラベリングやオフェンスファウルも増える。27歳でもう若手ではないカペラだが、成長はまだまだ止まっていない。

MVPを受賞したニコラ・ヨキッチのようなスキルはなくても、器用なプレーと全く縁がないわけではない。常にゴール下で構えるだけでなく、チームのパス回しが停滞した時にはフリースローラインまで下がるカペラに一度ボールを入れることで、再びパスワークが動き出し、ディフェンスにズレが生まれやすくなる。特にジョン・コリンズがスイッチして相手の小さなガードとマッチアップしている時は、カペラを経由することでコリンズにパスを入れさせまいとする相手のディナイをかわす。このプレーをカペラは「すごく良い感じなんだ」とパサーとしての手応えを強く感じている。

カペラがチームオフェンスに組み込まれて機能しつつあることで、ホークスのオフェンス力はさらに向上するかもしれない。ただ、それ以上にカペラが指摘するようにチームディフェンスの立て直しが浮沈のカギとなる。オールスターブレイクでどれだけの修正ができたかが、ホークスの後半戦を大きく左右することになりそうだ。

https://youtu.be/uDv1q7k2xmw