NBA開幕カウントダウン サンダー~ウェストブルックという『絶対的な存在』を擁する強みをどれだけ生かせるか

2016/10/24
NBA&海外
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写真=Getty Images
サンダー 2015-16シーズン成績
55勝27敗 西カンファレンス3位/カンファレンス決勝敗退
フィールドゴール率47.6%(リーグ3位)
3ポイントシュート成功率34.8%(リーグ18位)
1試合平均得点110.2(リーグ2位)
1試合平均リバウンド48.6(リーグ1位)

単独エースとなったウェストブルックのスタッツに注目

ケビン・デュラントがチームを去り、ラッセル・ウェストブルックとの『ダブルエース体制』が解消され、ウェストブルックの一強体制へ。NBAのベストプレーヤーと呼ぶべき選手が抜けた穴はあまりにも大きく、大幅な戦力ダウンは否めない。

しかし、泣き言を言っている暇などない。これまでのサンダーは、個性的な2人がそれぞれの持ち味をどう殺さずプレーするかが議論の対象だった。現状をポジティブに考えるなら、「ウェストブルックが力を存分に発揮できる環境が整った」と見ることもできる。

ウェストブルックは昨シーズン、1981-82シーズンのマジック・ジョンソン以来となる年間18試合でのトリプル・ダブルを達成した。唯一絶対のエースとなったウェストブルックが攻守両面を引っ張ることで、平均得点、リバウンド、アシスト数を伸ばすのは確実。あとは年間平均スタッツをトリプル・ダブルにどこまで近づけられるかが、今シーズンの注目ポイントの一つに挙げられているほどだ。

ウェストブルックにはスコアラーとしてだけではなく、パサー、プレーメーカーの役割も高いレベルで担ってもらわなければ、サンダーが勝利する姿は想像できない。とは言っても、一人で試合に勝つのは不可能だ。では、エースを支えるべきメンバーはどうだろうか。

期待を集めているのはヴィクター・オラディポ。2人のエースとともに一時代を築いたサージ・イバーカにマジックに放出し、見返りとして獲得した選手だ。身体能力の高いオラディポは、ウェストブルックとバックコート・コンビを組む相棒としては適任で、2人のケミストリーがシーズン序盤に見いだせれば、リーグトップクラスのワンツーパンチが誕生する可能性は高い。

フロントコートにサイズとリーチのある選手が揃っていることも新生サンダーの強みだ。昨シーズン中にブレイクし、先発に定着したセンターのスティーブン・アダムズは、プレシーズンゲームで1試合20得点11リバウンド4ブロックを記録するなどオフェンスでのインパクトを増している他、インサイドでボールを預ける存在としてウェストブルックの信頼も厚い。

そのアダムズと今シーズンからフロントコートでツインタワーを形成することが濃厚なエネス・キャンターも大きな武器の一つだ。もともとオフェンスのバリエーションが豊富で、最近では守備での成長も見られるキャンターは、昨シーズンはベンチからの強力な得点源としてオフェンスを支えた。

ダンクコンテストに参加するなど高い身体能力を持つオラディポ。彼の獲得は得点力ダウンの避けられないサンダーにとって心強い補強となった。

ウイングの弱体化で攻撃が単調になるリスクも

一方で弱点となるのは、当然ながらデュラントが抜けた穴。ポジションで言えばウイングだ。コートのどこからでもシュートを決められる多様性を持ったデュラントの代わりが見つかるはずもなく、サンダーのオフェンスは、ウェストブルックのアイソレーションが中心になるだろう。

ベテランのエルサン・イリャソワ、アンソニー・モロー、4年目のアンドレ・ロバーソン、3年目のカイル・シングラーは3ポイントシュートを打てるが、シーズンを通しての安定感は期待できない。つまり、サンダーのオフェンスは選択肢がかなり限られてしまい、対戦するチームからすれば対策を練りやすくなる。

昨シーズンのスペインリーグで3ポイントシュート成功率39.6%を記録した新人、アレックス・アブリネスはジョーカー的存在だが、NBAでの実績がないだけに現時点では未知数と言わざるを得ない。

以上のことから、昨シーズンよりチームの競争力が落ちているのは否定できないところ。ウォリアーズを最後まで苦しめたカンファレンス・ファイナルの再現には、レギュラーシーズンを通じて奇跡的なチーム力アップが必要となる。現実的な目標としては、まずはプレーオフ進出となる。

混戦の西地区では、6位から8位のプレーオフ進出でも決して簡単ではない。着実に成長を続けるジャズ、昨シーズンのリベンジに燃えるペリカンズ、有望株が揃うティンバーウルブズといったライバルの後塵を拝するようだと、2014-15シーズン以来となるプレーオフ進出を逃すというシナリオも、十分に考えられる。

チーム再編がスタートした今シーズン、苦戦が予想されるが、それでもウェストブルックという『絶対的な存在』を擁することは、他のライバルにはないサンダーの強み。この強みをシーズンを通じてどれだけ生かすことができるかが、サンダーの命運を握っている。

昨シーズンのカンファレンス決勝ではカリーを抑えるなどディフェンスにも定評があるロバーソン。あとはシーズンを通しての安定性が求められる。

2016-17シーズン サンダー予想ロスター
[PG]
ラッセル・ウェストブルック、キャメロン・ペイン、ロニー・プライス、セマジ・クリストン
[SG]
ビクター・オラディポ、アンドレ・ロバーソン、アンソニー・モロー
[SF]
エルサン・イリャソワ、ドマンタス・サボニス、ニック・コリソン
[PF]
ケビン・ラブ、チャニング・フライ
[C]
スティーブン・アダムズ、エネス・キャンター、ジョフリー・ラバーン