「ただガムシャラにではなく、チームにとって良い方向になるよう積極的に」
今の女子バスケ日本代表には成長著しい若い選手が数多く存在するが、馬瓜ステファニーはその中でも特に注目すべき存在だ。2017年の春、高校3冠を置き土産に桜花学園を卒業する際、彼女は「まずはトヨタ自動車で試合に出る、そしてオリンピックに出場できるような選手になりたい」と話すとともに、あこがれの存在にレブロン・ジェームズを挙げ、「異次元の選手ですけど、陰でものすごく努力している。表だけでなく裏でもしっかり頑張れる人になりたい」と語っていた。
あれから5年、ステファニーはトヨタ自動車アンテロープスの主力となり、昨シーズンのWリーグ優勝にはシックスマンとして他の選手にはできない貴重な働きで貢献した。高校卒業からほどなく3人制バスケ『3×3』との二刀流に挑戦し、東京オリンピックには3×3の代表として参加。バスケ競技では唯一、自分たちで予選を戦って出場権を勝ち取り、オリンピックではアメリカを破る大金星を挙げた。4人しか登録できない3×3で馬瓜は若手ではあっても不動の主力選手であり、23歳にしてチームの勝敗に責任を負ってプレーする経験を積んだ。
「3×3で出たオリンピックでは毎試合コンスタントに点を取り続けることが大事だと思ったし、大事なところのフリースローやゴール下とか、前半でも後半でもその1本がどれだけチームに影響を与えるかを感じたました。なのでアジアカップではフリースロー1本にも集中したし、ゴール下が外れてもセカンドチャンスを逃さないように考えていたので、それを学びました」と彼女は言う。
オリンピック終了後は再び5人制の代表に加わり、昨秋のアジアカップ優勝に貢献。ただ、ステファニー自身は「アジアカップではあまり積極的に攻めることができなかった」と反省が多い。「久しぶりの5人制の代表だったので、どのタイミングで攻めるとか考えすぎました。前回の経験があるし恩塚(亨)さんのバスケも一度やっているので、意識しすぎる部分は減ってきたと思います」
それでも、「ただガムシャラにやるのではなく、チームにとって良い方向になるように積極的にやっていきたい」と言うように、考えてプレーできるのがステファニーの持ち味でもある。ポテンシャルは十分。力の出しどころの判断さえアジャストできれば、3人制と5人制の両方でトップレベルを知る強みが出せるはずだ。
「カナダやベラルーシはフル代表でやったことがないので、自分がどれだけ通用するかが楽しみ」と、ステファニーは2月のワールドカップ予選に向けて意気込む。恩塚コーチからは「行けるタイミングがあったら全部行っていいよ、ってぐらい信頼をいただいている」そうだ。
「自分も行ける時は迷わずに行きたい」との言葉をコート上で実践できた時には、ステファニーは『期待の若手』から『日本代表の中心選手』へとステップアップしているに違いない。