レジー・ミラー

「ボストンでシャンパンファイトするのは道理に合わない」

2012年にバスケットボール殿堂入りを果たしたレジェンドのレジー・ミラーは、NBA選手としてのキャリアをペイサーズに捧げた。

1987年のドラフト全体11位でペイサーズから指名されたミラーは、2005年に引退するまで同チーム一筋のキャリアを送った。ミラーと言えば、『ミラー・タイム』と呼ばれたプレーオフの勝負どころで披露した異次元のパフォーマンスが代名詞だ。

2000年にはキャリア初となるNBAファイナルに勝ち進んだものの、レイカーズに敗れて悲願の優勝を成し遂げられなかった。それから5年後に引退したミラーだが、2007年には現役復帰のチャンスがあったと言われている。当時、セルティックスがミラー獲得に動いたと噂された。2007年のオフにケビン・ガーネットとレイ・アレンという2人のオールスターを獲得してポール・ピアースとの『ビッグ3』を結成したセルティックスは、2007-08シーズンに優勝を成し遂げた。結局ミラーがセルティックスで現役復帰することはなかったが、『The Athletic』とのインタビューで14年前の噂について聞かれた彼は、こう答えた。

「セルティックスは優勝を求めて、それを成し遂げた。選手としてインディアナで育ち、仲間と一緒に成長し、何年も優勝に手が届きそうな経験をして一喜一憂してきた僕が、ボストンでシャンパンファイトするのは道理に合わない。僕はインディアナで優勝したかったんだ。もし、僕がセルティックスで優勝できたとしても、仲間たちと一緒にチームに声援を送ったり、笑ったりすることなんてできない」

ミラーは、昨シーズンの王者になったバックスなど、いわゆる大都市を本拠地に持たない『スモールマーケット』チームでの優勝にこだわり、ペイサーズ一筋のキャリアを全うした。その彼が、インタビューで持論を展開している。

「あまり理解されないだろうけど、レブロン(ジェームズ)がクリーブランド(キャバリアーズ)に戻って優勝して、昨シーズンはミルウォーキーが勝った。インディアナを含むスモールマーケットのチームにとって、1回の優勝は3回や4回に相当する。僕たちはレイカーズでもセルティックスでも、ブルズでもない。スモールマーケットのチームが優勝すると、そのチームのファンは何があっても生涯支えてくれる」