パトリック・アウダ

信州はマーシャルが試合開始直後にケガ、横浜が主導権を握る

開幕節で富山グラウジーズ相手に連勝を収めた信州ブレイブウォリアーズが、ホームでの開幕戦に横浜ビー・コルセアーズを迎えた。

試合開始直後に先発センターのウェイン・マーシャルがケガでプレーを続けられず。これで信州のゲームプランが大きく狂った。もともと大きくないチームである信州は、レジナルド・ベクトンとパトリック・アウダにボールを集めてインサイドを突く横浜の攻めに対し、ジョシュ・ホーキンソンもアンソニー・マクヘンリーも序盤からファウルに気を付けながら守らざるを得ずに苦しんだ。ベンチから出たホーキンソンがマーシャルの穴を埋める活躍を見せて、第1クォーターこそ競った展開に持ち込むが、試合が進むにつれてローテーションが厳しくなる。

横浜は第2クォーターに入って突き放す。インサイドの攻めにヘルプが行く状況でキックアウトでチャンスを演出。このクォーターだけで4本の3ポイントシュートを決め、さらにディフェンスでも得点源となっているホーキンソンに良い形でパスを入れさせず、日本人エースの岡田侑大のアタックにはダブルチーム、トリプルチームでフィニッシュに行かせず、このクォーターを21-10とした。

後半に入って信州は、岡田にボールを集中させずに熊谷航と前田怜緒がボールを動かしてオフェンスが活性化するものの、横浜は前から積極的に当たって毎ポゼッションでクロックを削っていくディフェンスが効いており、さらには3ポイントシュートが引き続き好調で、要所で成功させることで信州に主導権を明け渡さない。

第4クォーター開始から森井健太の3ポイントシュート、須藤昂矢の速攻が決まって67-49と突き放す。ただ、積極果敢なプレッシャーディフェンスの結果、生原秀将に森井とポイントガード2人が立て続けに個人4つのファウルトラブルに。これで信州が息を吹き返し、試合展開は追う側へと傾く。速攻からホーキンソンがバスケット・カウントをもぎ取り、点差を1桁に詰めてオフィシャルタイムアウトを迎える。ホーキンソンは続くチャンスでシュートを外すも、マクヘンリーが抜け目なくこぼれ球を押し込んで6点差に。

岡田侑大

信州の日本人エース岡田侑大、非凡なオフェンス力で22得点

横浜はここで須藤、森川と連続で3ポイントシュートを決めるのだが、信州の日本人エース、岡田がこの勝負どころで底力を見せる。マクヘンリーのお膳立てから3ポイントシュートを3連続で決め、4本目の3ポイントシュートは外れたものの、ホーキンソンがコート外に出ようとするボールをダイブして繋ぎ、岡田がブザーとともにロングツーを決めて75-78と1ポゼッション差に迫った。

ただ、横浜も最後で粘りを見せた。続く岡田の3ポイントシュートが外れたところを再びホーキンソンが繋ごうとするが、全員が食らい付くことでルーズボールを譲らない。そして岡田は手が付けられない好調ぶりではあったが、アタックモードが行き過ぎた。マクヘンリーのスクリーンとパスのお膳立てがあっての攻めは決まっていたが、時間がなくなる中ですべてを一人でやろうとするとスティールを食らい、強引にアタックに行ってオフェンスファウルと、良い流れを自ら切ってしまった。

横浜は慌ててもおかしくない展開だったが、追い詰められた場面でディフェンスに意識を向けて集中を高めたことで勝ちを呼び込む。絶好調の岡田を止め、残り1分10秒で生原がミドルレンジからのフローターを手堅く沈め、前掛かりになる信州の裏を突く速攻から森川正明がフリースローを獲得して安全圏へと脱出。横浜が84-75で今シーズン初勝利を挙げた。

青木勇人ヘッドコーチは終盤に猛追を浴びながら勝ち切った試合について「自分たちも我慢しながらシュートを決めていった。選手が頑張ってくれた」と語る。勝敗を分けたのは3ポイントシュートで、青木ヘッドコーチは連敗した前節も「良いシュートは打てていて、あとは決めるだけだった」とし、「自信を持って打つことを強調して送り出しました」と語る。結果はここで信州が32本中11本成功(34.4%)だったのに対し、横浜は24本中13本成功(54.2%)と大きな差が付いた。それと同時にベクトンが15得点7リバウンド、アウダが14得点8リバウンドとインサイドで主導権を握ったことで、アウトサイドが生きた面もある。

もっとも、信州にとってはマーシャルが開始1分で故障するアクシデントが大きすぎる痛手となった。ベンチで松葉杖をついて試合を観戦したマーシャルが明日プレーできる可能性は低いだろうが、最初から欠場と分かっていれば手の打ちようはある。岡田は開幕節で18得点、18得点、そして今日は22得点と恐るべきオフェンス力を発揮している。明日の第2戦は、また違った試合になるはずだ。

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