文=鈴木栄一 写真=野口岳彦、鈴木栄一

来日6シーズン目で初のベンチスタート

昨日、立川立飛アリーナで行われたアルバルク東京と川崎ブレイブサンダースの試合前、メンバー表が配られると記者席に小さなどよめきが起きた。川崎の大エースにして昨シーズンの得点王&MVPであるニック・ファジーカスの欄に、スタメンを示す「○」が×印で上書きされていたからだ。

『戦術的理由』でファジーカスがスタメンを外れることは考えられない。このケースで想像するのは直前のアクシデント、予想外のケガだ。ファジーカス不在となれば川崎の得点力が大きく損なわれる。メディアが色めき立つのも当然だ。

しかし、その数分後にはチームメートとともにファジーカスがコートに出て試合前のウォーミングアップを開始。足首をかばうような動き方はいつものこと。別段、異変は感じられない。ただ、やはりスタメン落ち。ファジーカスにとっては来日6シーズン目にして初のベンチスタートとなった。

アクシデントにも動じることなく40得点を記録

いつものようにオン・ザ・コート「2」を選択した第1クォーター、先発はジョシュ・デービスとジュフ・バンバ。試合開始から1分が経過したところでファジーカスはごく自然にコートに入った。やはり、動きに問題はない。第1クォーターから12得点と点取り屋の本領発揮。最終的には30分のプレーで40得点を挙げている。

結果としては91-99で悔しい敗戦。試合後、北卓也ヘッドコーチはファジーカスのスタメン落ちについて意外な理由を明かしてくれた。「ニックが先発を外れたのはユニフォームを間違えたからです。試合開始1時間前に分かったので間に合うのかどうか不安だったので外しました」

なんと、宿舎に忘れたユニフォームを取りに行き、試合開始に間に合うかどうかが微妙だったのでスタメンから外れていたとのこと。210cmのファジーカスに限っては同じウェアのサイズの選手がいない。「毎年、1シーズンで1回くらい誰かは忘れるので、今年も忘れたかと。こういうのがあると、結果がこうなるかと思いました」と北ヘッドコーチも苦笑い。ちなみに、昨シーズンの『1回』はライアン・スパングラーだったそうだ。

このドタバタ劇が試合結果にどれだけの影響を与えたのかは分からないが、いずれにしてもチームにとってプラスにならないことは確か。『アジャスト』が必要だ。

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