チーム黎明期「当時からアジア制覇を掲げていました」
琉球ゴールデンキングスにとって今回のバイウィークはいつもと違うものとなった。桶谷大ヘッドコーチが日本代表を率いることになり、その間は穂坂健祐とアンソニー・マクヘンリーの両アシスタントコーチが練習を引っ張った。桶谷ヘッドコーチは「本当に雰囲気も良く、しっかり行き届いた練習をやってくれたという印象」と、安心してチームに戻って来ることができたと語る。
桶谷ヘッドコーチ自身、日本代表と琉球を行き来するメンタル面の難しさを感じており、「無意識に日本代表のことをずっと考えてしまうのを、キングスにスイッチを切り替えないといけない」と意識していたが、実際にキングスに戻ると「すごく新鮮な気持ちになれて良かった」と笑顔を見せた。「自分でも代表でやっているコンセプトをキングスに取り入れたいと思ったり、やっぱりこれはキングスの方が良いと思ったり。そこのマインドが変わったかは分かりませんが、良い部分はすごくあったので、それをキングスにも還元したいです」
それでも、EASL FINALS MACAU 2026に意識を向けると、表情はあらためて引き締まる。と言うのも、準決勝と3位決定戦で2敗した昨年のFINAL4を思い出すからだ。「準決勝に勝てばメンタル的に払拭されるとは思いますが、自分たちの中でやっぱり『負けている場所だからこそ』という思いは少なからずあるので、死に物狂いでこの勝ちを取りにいきたい。それができれば決勝はおのずと自分たちのやりたいことができる試合になると思います」
琉球には『沖縄をもっと元気に!』という活動理念、『沖縄を世界へ』というビジョン、『アジアNo.1球団』という目標がある。クラブ創設の時期から海外に目を向けていたチームを長く率いる桶谷ヘッドコーチも、その強い思いを共有している。
「キングスができて2年目から指導をしていて、一度外に出てまた戻って来ていますが、当時からbjリーグ優勝ともう一つの目標としてアジア制覇を掲げていました。『アジア制覇がなければbjリーグで優勝できないよね』というところから始まっているので、今もBリーグで勝つにはアジア制覇を目標にしていて、だからBリーグで戦えています。今はEASLじゃなくてもう一つ上、BCLアジア(FIBAバスケットボールチャンピオンズリーグアジア)を勝つところに意識を置いて、それで初めてEASLを勝てると思っているので、高い目標を掲げながらやっていきたいです」
バイウィーク明けからBリーグではシーズンの成否を左右する重要な試合が続き、EASLではタイトルを懸けて戦う。それが終わればいよいよレギュラーシーズンは大詰めを迎える。桶谷ヘッドコーチはいつもと変わらず「キーマンは全員。キングスは誰かが、というよりチーム全員で戦って、それぞれが役割を果たした時に強い」と、チームの一体感を強調した。
ジャック・クーリー「楽しみながら戦いたい」
昨年のFINAL4での悔しさはいまだ忘れていない。その思いを強く持っている一人がジャック・クーリーだ。Bリーグ以上にコンタクトが多く、インサイドの戦いが熾烈を極めるEASLで彼は消耗を厭わずハッスルし続けたが、昨年はそれが報われなかった。しかし今回は違う──との思いを胸に、再びマカオへと向かう。
「再びマカオのFINALSで戦えるチャンスがあることに感謝していますし、とても楽しみにしています」とクーリーは言う。バイウィークに十分な休養を取って、ここからシーズンのクライマックスまで突っ走るための準備万端で、士気も高い。
「昨年と違うのはチームとして戦い続けた中でお互いの信頼関係が深まったこと。非常に良い状態に仕上がっています。マッチアップはBリーグとはまた異なる難しさがありますが、準備はできています」
「昨年は天皇杯の決勝があり、レギュラーシーズンの真っ只中という過酷なスケジュールでしたが、今シーズンはそれに比べるとチャンスがあると思います。大事なのはコート上で自分たちの力を最大限に表現すること。審判の判定や試合展開など、いつも自分たちの思い通りにいくわけではないことも理解した上で、この状況を楽しみながら戦いたい」
一方で、昨年夏に琉球に加入した佐土原遼は、初めてのEASLを戦っている。アレックス・カークとともに日本代表に招集されたために、他の選手とは異なり休養十分ではないが「自分とアレックスも代表活動で得た良いエネルギーをチームにもたらして、ポジティブなマインドで全員がプレーできるようにしたい」と気合いは十分だ。
佐土原遼「国際ゲームに慣れることができた」
佐土原は初めて経験するEASLのグループリーグを「やっぱり大変でした」と振り返る。「マニラに1カ月で2度行ったり、しんどい部分はありましたけど、それを経て国際ゲームに慣れることができたと思っていますし、代表に選ばれたことに対してもアジアの選手がどういうプレーをするか勉強になりました。国際試合のアウェーでは相手の声援もすごいですし、その中でプレーする経験もできたのは良かったです」
そんなアジアの大会の難しさを経験しながら、開幕戦で黒星を喫した後に5連勝でグループリーグ首位通過を決めた。「ちゃんと立て直して5連勝できたのは良かった」というのが佐土原の率直な感想だ。
『沖縄を世界へ』というビジョンを持つキングスの一員となって国際大会を戦うことで、佐土原が影響を受けたことはあるのだろうか。「チームによってはレギュラーシーズンの試合よりトーンを下げてしまう、本気度が伝わらないようなことは、試合によっては出てきてしまうじゃないですか。でも僕はそういうのをあまり作りたくありません。どの大会のどの試合でも同じ準備をして、同じ強度でやらなきゃいけないと思うタイプです」
「なので影響を受けたというより『キングスがそんなチームじゃなくて良かったな』とホッとしたところはあります」と佐土原は語る。
「精神的にも肉体的にもやっぱりすごくしんどい部分はもちろんあるとは思うんですけど、でもそれをやっぱりチームで乗り越えていかないといけないと思うので、EASLは特にチームの力で勝っていきたいです」
簡単な戦いではなかったが第2シードを獲得した琉球は、FINALSでは20日の準決勝からの登場となる。対戦するのは18日に行われる宇都宮ブレックスvsニュータイペイ・キングスの勝者。ここに勝てば22日の決勝へと駒を進める。


