シェイ・ギルジャス・アレクサンダーが35得点を記録

ディフェンディングチャンピオンのサンダーと、ケビン・デュラントの補強で優勝を目指すロケッツの顔合わせとなった2025-26シーズンの開幕戦は、期待を裏切らない激戦となりました。

211cmを4人並べたスーパービッグラインナップを組んできたロケッツに対して、サンダーはチェット・ホルムグレンとアイザイア・ハーテンシュタインのツインタワーで対抗した形で始まりますが、高さに高さで対抗できている反面で、前半のサンダーはスティールが2つしかなく、本来の持ち味である機動力の高さが出せていませんでした。

これに対してロケッツは、ルーゲンツ・ドートに徹底マークされるデュラントを見てアメン・トンプソンが積極的なドライブから得点を奪っていきます。さらに足りないと思われた3ポイントシュートはアルペラン・シェングンが試合を通して5本を決めました。最大12点のリードを奪ったロケッツ優勢で試合が進んでいきます。

後半開始からツインタワーをやめたサンダーは、第3クォーターだけで3つを記録したケイソン・ウォレスを筆頭に、ハイプレッシャーディフェンスからのスティールを連発。これをカウンターに繋げて追い上げます。高さには機動力で対抗することで『サンダーらしさ』を発揮。これはチャンピオンチームらしい変化をつけた戦い方でした。

終盤になるとロケッツはシェングンが個人技で得点を奪い、サンダーはシェイ・ギルジャス・アレクサンダーがステップバックで取り返していきます。このエース対決はMVPのシェイに分があり、残り2秒のジャンプシュートでサンダーが同点に追い付き、試合はオーバータイムへ突入します。

シェングン39得点、デュラント23得点も勝ちきれず

迎えたオーバータイムでもシェイの個人技が光り、そのままサンダーが押し切るかと思われましたが、キックアウトしてもチームメートの3ポイントシュートがなかなか決まらず、逆に今度はシェングンの個人技でロケッツが取り返していきます。シェングンは残り9秒で自らのシュートミスを押し込んで同点に。

ずっと激しい攻防が続いてのダブルオーバータイムで、両チームとも疲労の色が強くなっていきます。それでも両チームとも一歩も譲らず、残り1分でデュラントがドライブからバスケット・カウントを決めてリードを奪えば、シェイが同点ミドルを沈めます。

次のオフェンスでデュラントへのパスをルーゲンツ・ドートがスティール。この試合、23点を奪ったデュラントでしたが、終始ドートのフィジカルなディフェンスに苦労させられ、パスを受けることにも苦労していました。単純にデュラント個人の問題ではなく、ポイントガードが足りていないロケッツのパス問題が響きました。

それでもサンダーの1点リードで迎えた残り11秒。オフェンスが上手く構築できない中でもシェングンがドライブでねじ込みます。サンダーはすでにホルムグレンとハーテンシュタインが退場しており、フィジカルな押し込みに対抗できなくなっていました。

しかし、それでも終わらせないのがMVPのすごさでした。ボールを持って仕掛けるシェイに激しいマークでシュートすら打たせないロケッツですが、追い込まれた中のシュートフェイクの繰り返しに耐えられなかったデュラントが痛恨のファウル。シェイがこのフリースロー2つをしっかりと決めきり、サンダーが125-124で開幕戦を制しました。

お互い特殊な戦い方をする良さも悪さも出る展開でしたが、終盤になってからはエース同士の強烈なやり合いが延々と続きました。高度な戦術もありながら、それを上回る個人の特別な輝きもある。NBAが帰ってきたことを強く印象付けた開幕戦でした。