
「結局それがバスケであることに変わりはない」
ジェイレン・ブランソンにとってトム・シボドーはキャリアで最も大きな意味を持つ指揮官だった。2巡目指名選手だった彼はマーベリックスではルカ・ドンチッチの控えで、先発起用されてもスター選手をサポートするのが彼の役回りだった。脇役から主役へと飛躍する選手は、NBAではそう多くない。だが、シボドーは彼を主役に据え、彼はその期待に応えてニックスを強豪チームへと引き上げた。
しかし、ブランソンにとってニックスの3年目が終わった直後、シボドーは解任された。良い戦いは演じられても、優勝には手が届かないと見なされてのヘッドコーチ交代だった。ブランソンはシーズン始動の会見で「長く一緒だった人がチームからいなくなるのは悲しいことだ。彼は僕にとって非常に大きな意味を持つ人、僕のキャリアを大きく引き上げてくれた人だった」と別れを惜しんだ。
それでも、これが『NBAのビジネス』であり、次のステップに進まなければいけないとブランソンは理解している。「僕は変化を受け入れて適応し、今後チームがどのように最高の姿に近付くかを見いださなければいけない。勝ちたければやるしかない。コートに出てチームを勝たせるのが僕の仕事だ。このチームには人材が揃っている。僕も自分の能力を最大限に発揮しなければならない」
こうしてニックスは新たなスタートを切った。新たなヘッドコーチであるマイク・ブラウンの指揮の下で数日間の練習をこなしたブランソンは「ここ数年でやってきたことと多くの部分でやり方が異なる。でもそれは分かっていたこと。今はまだ始まったばかりで、コンセプトを理解しようとしているところだ」と語る。
ブランソンは変化自体を嫌がっているわけではない。学び、成長する過程はシボドーの下でも同じだったことを強調する。「この数年間だって常に何かを学び、改善し続けていたよ。どの時点でも、やるべきバスケを完全にマスターしたとは言えなかった。常に成長していかなければならない」
「それに、やるバスケが変わると言っても、結局それがバスケであることに変わりはない」とブランソンは続ける。「用語が異なり、スクリーンのセットやスペーシングのやり方が変わり、今までとは違うスキルが求められるかもしれないけど、そこを理解すれば良いだけだよ」