ディアロン・フォックス

昨シーズン途中にキングスから加入、マックス額で合意

ディアロン・フォックスとスパーズが4年2億2900万ドル(約340億円)のマックス額での契約延長に合意したことを『ESPN』が報じた。

フォックスは2017年の1巡目5位指名でキングスに加わり、1年目から主力として活躍。勝てないシーズンが続いたが、フォックスの成長とともにキングスもプレーオフ進出チームへとステップアップした。『チームの顔』となったフォックスだったが、契約延長を控えた8年目の昨シーズンに、指揮官マイク・ブラウンの解任をきっかけにキングスと決裂。トレードを要求して2月にスパーズへと移籍していた。

フォックスは2020年にキングスと5年1億6300万ドル(約240億円)の契約を結んでおり、その最終年となる2025-26シーズンの年俸は3700万ドル(約56億円)。それが新契約1年目の2026-27シーズンには4960万ドル(約74億円)へと上がる。今回の4年契約は完全保証で、フォックスは32歳となる2030年までスパーズでプレーする。

昨シーズンは開幕前に左手小指の腱を伸ばし、ずっと痛みを抱えながらのプレーを強いられて本領を発揮できなかった。スパーズ加入後は17試合に出場したが、このケガの手術をすることになりシーズン終盤戦を欠場した。ビクター・ウェンバニャマと一緒にプレーしたのは5試合だけだったが、それでも強力なピック&ロールを見せており、2人とも完全回復して迎える新シーズンは、そのコンビネーションの成熟が期待される。

「リーグで最高のピック&ロールコンビになりたい。本当の意味で連携を確立させれば、僕らを止めるのは難しくなる」と昨シーズン最後の会見でフォックスは語っている。契約延長については「まだ何も決まってないけど、一つ言えるのは僕はスパーズでの挑戦にワクワクしていることだ」と前向きな姿勢を見せており、マックス契約を提示されて断る理由はなかった。

とは言え、スパーズがマックス契約を出すかどうかは疑問視されていた。クリス・ポールは退団したが、ルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いたステフォン・キャッスルがいて、1巡目2位でディラン・ハーパーを指名。来年にはウェンバニャマの、再来年にはキャッスルの契約延長が控えており、この先はサラリーキャップの管理が難しくなってくる。生え抜きではないフォックスにある程度の譲歩を求める、との見方もあった。それでもスパーズはフォックスをチームの柱に据えることを、この契約延長で示した。

スパーズは過去6シーズンでプレーオフから遠ざかっているが、これを機にプレーオフの常連チームになり、若きサンダーのライバルとして優勝争いに加わることが期待される。フォックス自身にも、そのキーマンになる強い自覚を持っている。

「このチームの弱点のいくつかは僕が解消できると思う」と彼は語った。「ペイントアタックを苦手としているけど、僕の得意なプレーだ。僕がペイントを攻めるだけでなく、NBAのバスケを学ぶ段階の才能ある若手にそのやり方を伝えたい。才能があって学ぶ意欲もある選手と一緒にプレーするのは素晴らしいことだ」

「スパーズは多くを勝ち取ってきたチームだ。美しいバスケを見せて勝つことが期待されるのは当然だよね。僕はその期待に応え、さらにその期待を上回る活躍を見せたい」