「まだ第1戦が終わっただけ。相手は必ず修正してくる」
NBAファイナル2019 開幕前の時点では、球団史上初のファイナルに進出したラプターズの大半の選手が、優勝を決めるこの舞台を経験していないことが弱点になるのではないか、と不安視された。しかし、5月30日に本拠地スコシアバンク・アリーナで行なわれた第1戦に勝利したのは、経験値で劣るラプターズだった。
プレーオフでのキャリアハイとなる32得点8リバウンド5アシストでラプターズを引っ張ったパスカル・シアカムは、ファンのサポートに感謝の気持ちを述べた。
「まず言いたいのは、ファンのみんなは本当に素晴らしい。ウォームアップの時から試合が終わるまで、本当にみんながサポートしてくれた。それに、試合中も熱狂的だったしね。今日のような光景は、これまでに見たことがない。その一部になれてうれしい」
王者ウォリアーズと比べてファイナルでの経験が圧倒的に少ない点について、シアカムは「どんなチームと戦っているかは分かっている」と答えた。
「彼らは王者。とにかく自分たちは、準備万全の状態で試合に臨まないといけないんだ。たしかに、第1戦には勝った。ディフェンスでも積極的にやれたし、相手が簡単にオープンな選手を見つけられないように努力した。ただ、まだ第1戦が終わっただけ。相手は必ず修正してくる。そういう相手に対応できるように準備しないといけないんだ」
3年目の飛躍、そして初のファイナルでキャリアハイを更新するなど、パスカルは今、時代の波に乗ろうとしている。18歳の頃、7年後にNBAファイナルでプレーしていると教えられたら、どういうリアクションを取ると思うかと聞かれたシアカムは、「きっと、その人は頭がおかしいと思うだろうね。当時は、このレベルでやれることを自分が目標にしていたかどうかさえ、定かではなかった。自分には、手の届かない世界だと思っていたから」と、返答。そして「ただ、自分にも可能性があるかもしれないと思った時から、必死で努力してきた」と、続けた。
「もちろん、家族や、ラプターズの全員、たくさんの人に助けられてきた。今日のような瞬間のために、全力で準備してきた。18歳の頃の自分は、ファイナルでプレーすることなんて考えてもいなかったと思う。でも、それが実現できると信じられるようになってからは、このレベルにたどり着くために全力を尽くしてきた」
第2戦からは、ウォリアーズのマークも厳しくなる。その状況でシアカムがチームを勝たせるプレーができるかどうか、6月2日の第2戦が楽しみだ。