自ら考え、必要な分野だけ専門家の意見を求めるスタイル
先日ルーキーへの慣例イタズラ(ポッポコーン・テロ)を受けたセルティックスのジェイレン・ブラウンは、異色のNBAプレーヤーと言える。
2016年のドラフト全体3位という高評価を得たブラウンは、他にドラフトにエントリーした選手とは異なり、代理人を雇っていない。昨今のプロスポーツでは、選手がプレーだけに集中する環境を得るため、あらゆる物事をサポートする代理人を雇うのが常識なのだが、ブラウンは熟慮の末、あえて代理人と契約を結ばないことを決断した。
もちろん、ブラウンは契約の専門知識も持たず、交渉術に優れるわけでもない。だから必要な場合は、その分野の専門家に意見を求め、最後は自分で決断する。
『Boston Globe』によれば、ブラウンはadidasとのシューズ契約を結んだ際には代理人のアーロン・グッドウィンの助けを借りたそうだが、それはあくまで一時的なもので、必要に応じて友人や母校カリフォルニア大学の教授に相談しているという。
現代のNBAは契約にも細かなルールが定められている。球団が新人と言い値で契約できた時代とは異なり、今は指名順に応じて年俸が定められた『ルーキースケール』という制度があるため、不当な契約を結ぶことはできない。
ブラウンは『Boston Globe』に対し、代理人と契約しない理由を次のように語っている。「何人か代理人の話を聞いたけど、彼らが提示するサービスは僕には必要ないと判断したんだ。必要な情報をくれる人たちは周りにいるからね」
幼い頃から両親に教えられた「自分のことは自分でやる」
ブラウンが現在の思考法に行き着いた要因は、両親の教育にあった。「自分の意見は自分で主張する。自分のことは自分でやる」と幼い頃から教えられてきたのだ。
昨年シカゴで開催されたドラフトコンバイン(ドラフトの1カ月前に各チームのGM、コーチ、スカウトらが集まって開催されるエントリー選手の体力測定を実施する場)にも個人トレーナーだけを連れて参加したブラウンは、代理人やスタッフに囲まれた他の選手たちを観察し続けて疑問を持った。
ブラウンは言う。「皆、自分でやれることを人にやってもらって、まるで赤ん坊だ。自分でやれることをしないのは、学ぶ機会の妨げになるよね。どういう世界に飛び込むかも知らないのでは、代理人が必要な理由なんて分からないじゃないか」
今年も多くの有望な若者が各大学からNBAドラフトにエントリーするが、ブラウンは彼らに対しても、代理人と契約する前に「自分のことは自分でやる」ことを推奨している。