競争が激化する福岡予選で5年ぶりの頂点に立ち、ウインターカップへの切符をつかんだ精華女子。去年は4年ぶりに出場したインターハイでベスト8まで進んだものの、ウインターカップでは1回戦敗退し「悔しい思いしかしてこなかった」とキャプテンの清藤優衣は言い、同じく3年生の中釜光来も今夏のインターハイで思うようなプレーができずに「本当に悔いが残る」と話す。『3年間の思い』のすべてをぶつけるべく、高校バスケ最後の大会に臨む。
「チームに良い影響を与えられるようになっている」
──まずは清藤選手から中釜選手の紹介をお願いします。
清藤 身長は157cmと小柄ですが、とてもスピードのあるプレースタイルで、いつもゲームを作ってくれる頼もしい存在です。普段は結構ちょっかい出すタイプだと思います。
──では、中釜選手から清藤選手の紹介をお願いします。
中釜 プレーの面では、得点が止まった時に清藤選手にボールを集めたら、中からでも外からでも得点を取ってくれるという信頼があります。オフコートでも一番早くにご飯を食べて、毎朝のシューティングや練習にも取り組んでいるので、私も「もっとやらなきゃ」という気持ちになれます。キャプテンが引っ張ってくれるとみんなも盛り上がりますし、チームの雰囲気が全然違います。試合中は格好良いですが、バスケから離れると『おたく』って感じです。
清藤 推しがテレビに出るとなると、もうご飯も急いで済ませて見ています(笑)。
──清藤選手はU17日本代表に選ばれました。自信の成長についてどう感じていますか。
清藤 去年は膝をケガして思うように動けませんでしたが、今年になって徐々に改善していきました。代表の活動では通用しないことも多かったですが、逆に「もっと上手くなりたい」という気持ちが沸きましたし、たくさんの経験をさせてもらう中で自信を得られたことが一番成長したところです。
──日本代表で自信がついたことで、精華女子に戻って変化はありましたか。
清藤 個人でいろいろな活動をしてきて、私が経験したことをチームに還元するのが一番大事だと思いました。海外で直接感じたことをみんなに共有して「もっとこうした方が良いよ」と伝えることが、チームに良い影響を与えられるようになっていると思います。
「一人の成功をみんなで喜べるのが精華の良さ」
──新チームが始まって、最初にインターハイがありました。地元開催で期待される中、3回戦敗退をした時の心境を教えてください。
清藤 福岡開催のインターハイは、私たちが入学した頃から大上コーチに「そこを3年間の一番の目標にしていこう」と言われてきていたので、インターハイに懸ける思いは強かったんですが、優勝するための準備が全然できてなくて、力不足で負けたとすごく感じました。
──準備不足というのは具体的にどういうことですか。
中釜 自分自身もケガで良いコンディションで臨めず、思うようなプレーができず、チームを作れなかったことが一番悔しかったです。コンディションが整っている状態で負けるのであれば、練習で改善していくこともできるんですけど、コンディションという最初の部分で良い状態じゃなかったのは本当に悔いが残るところです。
──それでもウインターカップの福岡県予選は1位で突破しました。
中釜 東海大学付属福岡に18点差をつけて勝てたのは、チーム全体でスカウティングして、勝つ準備が整っていたのが一番大きな要因だと思います。
清藤 毎年、東海大福岡と福岡大学附属若葉と対戦するんですが。今年はいつもは感じないような緊張感がありました。でも不安はなく、最後の県大会というのもあって「負けたくない」という思いが強かったから、自信を持ってとても楽しくできました。
──苦しい時期を経て、福岡県での最後の試合で勝てた時の気持ちはいかがでしたか。
清藤 ウインターカップ予選では、1年生から1回も優勝したことがないんです。なので、今年はすごく良い雰囲気で臨めて、やっと優勝できたという安心のほうが大きかったです。
──この3年間でチームが成長していると思うところはどこですか。
中釜 新人戦ではボールが止まってから「オフェンスは何をする?」という感じのスタートでした。今は一人ひとりのスキルもだんだん上がって、役割を理解したことで、ボールが止まることもなくなりましたし、プレーの幅が広がったのは大きく成長したところです。
清藤 チームとして『一人の成功をみんなで喜べる』というのが精華の良さだと思います。バスの中での応援練習も、応援席にいる子だけでなく、ベンチのメンバーも全員で一緒にしたり「みんなで試合に向かおう」という気持ちを立場に関係なく持てているのはすごく成長している部分だと思います。
「笑顔でプレーしてる姿を見てほしい」
──ウインターカップの対戦カードが発表されました。対戦カードを見て「ここがポイントだ」と思うところはどこですか。
中釜 ベスト8で浜松開誠館、ベスト4で桜花学園と戦うことになると思います。桜花学園は経験を積んでいるし、高さでのミスマッチが多いので、その部分の対策をこれからやっていきたいです。
清藤 桜花学園も去年はベスト8で負けているので強い思いがあると思いますが、自分たちもその思いに負けずに戦っていきたいです。
──ウインターカップへ向けて意気込みを聞かせてください。
中釜 今年は主力で出ている3年生も多いですし、自分たちの集大成でもあるので、予選よりもさらにチームを強化して、3年間の思いをウインターカップにぶつけたいです。
清藤 1年生の時は1回も全国の舞台に出れず、2年生のウインターカップも1回戦敗退でした。インターハイでも日本一を目指していた中で負けて、今まで悔しい思いしかしてこなかったので、ウインターカップは最後のチャンスです。私はマークが厳しくなると思いますが、それに打ち勝つプレーをして、部員47人分全員の思いも背負いながら日本一をつかみにいきたいです。
──最後に、応援してくださる皆さんにメッセージをお願いします。
清藤 今年1年、キャプテンとして笑顔でチームを引っ張ることを目標にやってきたので、笑顔でプレーしてる姿を見てください。精華は『全員で一つになって戦っていくチーム』なので、みんなの笑顔や応援で楽しんでいる姿をチェックしてほしいです。
中釜 個人としては、ゲームを作ること、スピードやアシストの部分に注目して見てほしいです。チームは、みんなで楽しくバスケすることを大事にしているので、楽しんでバスケすることをみんなに広めていきたいです。