A東京の鉄壁ディフェンスを攻略し、連敗を6でストップ
群馬クレインサンダーズは12月6日、アウェーでアルバルク東京と対戦した。リーグ随一の堅守を誇るA東京相手にトレイ・ジョーンズの30得点などオフェンス爆発で91-82と勝利し、連敗を6で止めた。
試合序盤から群馬は攻守の素早い切り替えからのトランジションオフェンスでイージーシュートを作り出す。一方、A東京もボールがよく動き、内と外のバランスが取れたオフェンスで応戦し、44-43と互角で前半を終えた。だが、後半に入って群馬はジョーンズの鋭いドライブなど、インサイドアタックで主導権を握ると、A東京がオープンの3ポイントシュートを決め切れないこともあり68-60とリードを奪う。第4クォーターになっても、群馬は引き続きガード陣の積極的なアタックでA東京のディフェンスを切り崩すと、要所ではケーレブ・ターズースキーがタフショットを沈め、A東京に付け入る隙を与えずに逃げ切った。
群馬は中心選手の一人である帰化選手のビッグマン、マイケル・パーカーが3日の試合で右大腿二頭筋肉離れを負い約3週間から4週間の欠場の見込みとなった。群馬のエースであるジョーンズはウイングの選手であり、パーカーのかわりにビッグマンの守備につくのは得策ではない。
そんな中、先発の八村阿蓮と共に身体を張ったハッスルプレーでチームに勢いを与えたのが野本建吾だった。4番ポジションでプレーした野本は、必然的にセバスチャン・サイズ、ライアン・ロシターといったBリーグ屈指のビッグマンと対峙することになる。A東京は野本が守っている選手のところから積極的に仕掛けていったが、野本はしっかりと食い止め見事な繋ぎの役割を果たした。スタッツは7分55秒の出場で4得点1リバウンド1アシストと目立っていないが、出場時の得失点を表すプラスマイナスが+6だったところに、彼の貢献度の高さが現れている。
「本当にうれしいですし、(連敗を止められて)ホッとしました。今日に関しては、マイク(パーカー)が故障でプレーできないところで、自分の働きは必要になると思っていて、リバウンド、ディフェンスを一番にフォーカスしました。そこから自分の得点にも繋がりましたし、勝てて良かったです」
「今シーズン、これだけエナジーを出せた試合はなかったです」
こう試合を振り返った野本は、自身に関しては原点回帰の思いをより強く抱いてコートに立っていた。「連敗が続いて苦しい状況でしたが、『自分に何ができるんだろう』と考え直した結果、自分の原点はエナジーだと。ハッスルして、良い流れを作っていくことを意識しました」
そして、次のように充実感を語る。「今日に関しても8分くらいで、そんなに多くの時間を出ていたわけではなかったですが、20分くらい出たような体感でした。すごく張り詰めた緊張感のある中でプレーできたのは収穫でした」
また、ロシター、サイズらの守備については、「いかに得意でないシュートを打たせるか」を重視し、何よりも気持ちを大切していたという。「自分のプライドをかけて、試合に臨んでいました。自分のところからシュートを打ってくることに対して、自分の全てをコートで出し切って守る覚悟で試合に入りました」
この試合に限らず、故障者などいろいろな要因もあるが、今シーズンの野本は昨シーズンに比べて着実にプレータイムを増やしている。群馬の水野宏太ヘッドコーチは、「建吾はプレータイムに関係なく、彼の持っているハッスルプレーを常に出してくれると信頼できます。今シーズンはスキルの部分でも伸びている。今後、さらに伸びていって面白い選手になってくれると思います」と野本の成長ぶりを評価している。
そして野本自身も、スカウティングに注力することで、パフォーマンスが向上していると分析する。「自分が出た時にどういうオフェンスができるのか。それに対する練習にも時間を費やしています。相手の試合を多く見ていると、ここを攻められるなどアイデアがどんどん膨らんできます。考えが去年と結構変わっていて、それが積極的にシュートを打てている要因だと思います」
この勝利を大きな分岐点とするためにも、今週末の試合はより大きな意味を持ってくる。「今日の試合は、本当に大きいです。今シーズン、これだけエナジーを出せた試合はなかったです。これを継続していければ、もっとチームはよくなって、勝ち星を増やしていけます」。こう野本が語るように、今回のような高い強度を持ったプレーを継続できれば、自然と結果も伴っていくはずだ。
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