流れを変えた2本のブロックショット
12月22日、川崎ブレイブサンダースは名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの第2戦に延長戦の末勝利した。
名古屋Dの3ポイントシュート攻勢によって逆転され、第3クォーター中盤には12点のビハインドを背負うなど川崎は苦戦を強いられた。だが、今シーズン初出場のジュフ・バンバがこの劣勢を覆す。コートに入るや否や、中東泰斗のダンクとレイアップを2本連続でブロックし失点を防いだ。川崎を指揮する北卓也も「スイッチが入ったのはバンバの2本のブロック。あれでディフェンスにプレッシャーがかかったのが大きい」と試合の分岐点に挙げている。
これでディフェンスマインドが注入された川崎は反撃に転じ、ニック・ファジーカスのシュートミスをバンバが空中で押し込むプットバックダンクで同点とし、第3クォーターを締めた。その後もバンバは少ないチャンスをモノにし、11得点9リバウンドを記録するなど、勝利に大きく貢献した。
そんな好パフォーマンスを披露したバンバは「練習の成果が出た」と表情をほころばせた。初めての出場機会で結果を残しても浮かれることはなく、「チャンスをもらったらちゃんとつかまないといけない。今日だけでなく、シーズンが終わるまで続けることが必要」と説いた。
「ニックがいるし、ポイントゲッターはいるから、僕は他のディフェンスやリバウンドで頑張る」と自分の生きる道を模索中のバンバだが、昨日の試合では11得点を挙げ、オフェンス力があることも証明した。そして、3ポイントシュートを沈めたシーンでは、両手を上げるパフォーマンスを見せた。「思わず出た」ということだったが、「キャプテンみたいに、リラックスした感じで気持ち良かったです」と笑顔を見せた。
「どんなスポーツでもメンタルがないと選手にはなれない」
26試合目にしてようやく巡ってきた出場機会だったが、バンバは見事に結果を残した。試合に出れない日々が続く中で、モチベーションを保つには相当な精神力が必要となる。バンバも「めちゃくちゃ難しいです」とメンタル面の苦労を口にした。それでも、プロとしての心構えをしっかり持つことで、バンバは今回のハイパフォーマンスを可能にした。
「メンタルがないと選手にはなれないです。それはどんなスポーツでもそうです。試合に出れなくて終わりではない。川崎はBリーグのトップクラスのチーム。ここで頑張っていければ、他のチームでもスタメンになれる。そのメンタルで毎日練習を頑張っています」
ベンチに入れば出場の可能性はある。だが外国籍選手の登録は2人までとなり、バンバはベンチにさえ入れなった。腐ってもおかしくはない状況だが、バンバはそうしたストレスをチームに尽力することで解消してきたという。
「ベンチに入れなくても、後ろでチームメートを助けることができる。試合に出ていると全部は見えないし、外にいるからこそ分かることもある。チームをなんとかして助けてあげるという感じです」
「ついていくことで僕もレベルアップできる」
北コーチは「昨日の試合でスタミナが終盤になかったところと、やってほしいことができていなかったので、(シェーン・エドワーズではなく)今日はバンバでいこうと決めました」とバンバの初起用の理由を明かした。
チャンスをモノにする者もいれば、チャンスを逸する者もいる。これは自然な流れで、この競争がチームの底上げにもつながる。バンバも「レベルの高いコンペティション(競争)は自分にプラスになります。インサイドもアウトサイドもレベルが高いですが、ついていくことで僕もレベルアップできる」とこうした競争を歓迎している。
そして、北コーチは「彼はチャンスを少しつかんだと思います。ニック、バーノン、シェーンにないモノを今日出してくれました。今後についても良い引き出しになりました」と今後の起用をほのめかすコメントを残した。
今後も普段の練習からポジション争いは続いていく。それでも昨日の試合がプレータイムを確保する、一つのきっかけになったことは間違いない。
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