文=鈴木健一郎

半年ぶりの日本代表、堂々とした態度で練習に取り組む

新たなスタートを切る男子日本代表。68名の重点強化選手のうち、琉球ゴールデンキングスからは岸本隆一と津山尚大の2人が名を連ねている。

今週の強化合宿には岸本が参加。「今回はコーチがどういうことを求めるのか、その考え方を理解しようということを第一優先でやりました。今まで代表が取り組んできた根本的なところは変わらないと思います。ただ細かさやフィジカルなバスケットをしていかなければならないということは、2日間の合宿ですけど感じました」と、この2日間を振り返る。

岸本は日本代表がリオ五輪最終予選で敗れた後、仕切り直しとなる7月のジョーンズカップで初めてAKATSUKI FIVEに加わった。それ以来の代表参加となったが、この間にはBリーグが開幕し、岸本も様々な経験を積んだ。今回の合宿では堂々としたもので、新しいバスケを吸収しようという意欲が見て取れた。

テクニカルアドバイザーのルカ・パヴィチェヴィッチが志向するバスケットについてはこう語る。「しっかりスペースを取ってそこに対してトップスピードでしっかりアタックする、というのをこの合宿で感じました。僕がそれを動かせるようにならなければ、と思っています」

パヴィチェヴィッチの印象については「ヨーロッパのコーチなのでアウトサイド中心かと勝手に思っていましたが、すごくフィジカルなバスケットを求められていると感じました」と言う。

日々の練習、毎週のリーグ戦で『挑戦』が求められる

新たな発見もあった。ガードの岸本にとって、ゴリゴリと当たる『フィジカルなバスケット』は決して得意ではない。だがコーチが発した一つの言葉が岸本には響いたのだそうだ。

「ルカコーチからは『何か一つのスペシャリストになるのはよくない。そういうスペシャリストっていうのが自分の成長を妨げるんだ。もっとチャレンジしていけ』と言われました。僕もシュートだけというわけにはいかないので、むしろフィジカルは強化するべきだし、弱いなら弱いなりにもっと工夫する必要があると感じました」

パヴィチェヴィッチが言うのは、シュートが得意だからと言って中の選択肢を捨てるな、ということ。特定の選手に向けられたのではなく、練習の流れの中で出た言葉だが、岸本は「なぜそこに挑戦しないんだ、という意味に受け取りました。もっと成長しないといけない、と自分に言われた気分でした」と受け止める。

「代表からチームに戻ったところで僕は小さいので、日頃から取り組んでいかなければ代表で戦う資格はないと思います。習慣づけてやっていくしかないです」

最後に、新たな日本代表での『生き残り競争』についての意気込みをこう語ってくれた。「今回の合宿でそれぞれの選手の印象をつかんだと思うのですが、これと言って僕たちが何か特色を出せたわけではないので、通常のリーグ戦が大事になってくると思います。そこでしっかりアピールするには、日頃の練習でどれだけ習慣づけられるか、コーチが求めることをできるか。それを忘れず取り組んでいきたいです」

リーグ真っ最中の、限られた時間の中での合宿だったが、少なくとも岸本にとっては大きな収穫があった2日間となった。今週末は沖縄で秋田ノーザンハピネッツを迎え撃つ。代表で大いに刺激を受けた岸本のプレーに注目したい。

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