「一回一回のプレーで自分の持っているものを出しきって表現できたら」
中田珠未は東京オリンピックでは5人制、3人制といずれも代表候補に入りながら本大会出場を逃したものの、今後の日本代表のインサイドを支える重要な戦力になると期待されている。東京オリンピック終了後には恩塚亨をヘッドコーチに迎えた新体制の日本代表に招集され、アジアカップ優勝に貢献した。183cmの高さがあり、走って跳べる運動能力を備えた中田は、今回のワールドカップ予選の代表候補19人にも入っている。
今回は同じポジションに髙田真希や渡嘉敷来夢が参加している。アジアカップで恩塚のバスケを経験済みである中田から見て「ベテランの選手はイチからインプットして表現する技術がすごく高い」そうで、「アジアカップの時より全体的に成長するのも早いし、チーム内での競い合いもすごいので、前回より充実して練習に取り組めている」と昨日の会見で語る。
中田たちが『お姉さん』と表現するベテラン勢が加わったことで、トム・ホーバスの前体制からの変化もある。「選手同士でも細かい指導が前に比べて増えました。トムさんの時は、トムさんがいろんな役割を全部やってくださっていましたが、そういうことができる選手が代表にはたくさんいて、若い子に自然と教えています。自分の知識を若い選手にあげよう、というポジティブな感じだと自分は受け取っています」
髙田と渡嘉敷は実力的にも国際経験の意味でも突出した存在だ。さらには東京オリンピックで経験を積んだオコエ桃仁花もいる。そんなチームでどうやって存在感を見せるのか、中田は明確なイメージを持っている。
「今回は渡嘉敷選手だったりサイズのある選手がいて、オフェンスの部分で高さが有利に働くのが大きな違い。その中で自分ができるのは前からプレッシャーをかけて、足を使って守ること。それが今ここでできる持ち味の出し方です。リバウンドは今までも変わらずオフェンスもディフェンスも続けていきますが、ディフェンスで足を使ってプレッシャーを前からかけたり、持たせないようにすることを練習から意識しています」
他の選手にはない自分の持ち味を前面に押し出していくつもりだが、所属するENEOSサンフラワーズと日本代表では選手起用の考え方が異なる。「ENEOSでは2番手とか3番手で出る選手ですが、代表ではプレータイムをシェアしてみんなでバトンを繋ぐバスケをします。出る時間が決まっているから、すべてに全力で取り組めるように、そこの部分でもっとスキルアップできたら。一回一回のプレーで自分の持っているものを出しきって表現できたらと思います」
前回のアジアカップでは「自分のチームでは通用することが通用しないことが多い」ことを学んだという。それでも「恩塚さんのバスケは理解して表現できれば楽しくやれるバスケなので、その中で自分の持ち味を上手く絡めてやっていけたら」と士気は高い。高田と渡嘉敷の揃い踏みとなる代表で、中田にも自分のやるべき仕事を徹底することで存在感を発揮してもらいたい。