第3クォーターに金丸晃輔が覚醒、ロースコアの展開から一転してサンロッカーズ渋谷を突き放したシーホース三河が完勝

2017/03/04
Bリーグ&国内
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文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

守備で耐えて好機を待ち、第3クォーターに攻守が噛み合う

30勝9敗で西地区首位を走るシーホース三河が、19勝20敗でワイルドカードを争うサンロッカーズ渋谷と対戦した。

鈴木貴美一ヘッドコーチが「良いディフェンスが40分できた」と試合後に語ったように、三河がSR渋谷を58点に抑え込んで勝利をモノにした。

三河はポイントガードの橋本竜馬、柏木真介をケガで欠く状況。ポイントガードを務めたのは比江島慎で、普段はシックスマンを務める長谷川智也がシューティングガードとしてスタートを任された。司令塔となった比江島は自らも得点を重ねつつ、安定したゲームメークを披露した。

第1クォーターを19-19で折り返し、迎えた第2クォーターでは三河の堅守が光る。相手のピック&ロールに対してズレを作られながらも、最後までシュートチェックに行くことでプレッシャーを与え、SR渋谷のシュートをリングに弾かせる。1対1のディフェンスでも楽にシュートを打たせなかった。

SR渋谷は広瀬健太がボールの中継役となりディフェンスを崩していく。リーグナンバー1のスティール数が示す守備力も見せ、自らもパスカットからワンマン速攻を決めるなど目立った働きを見せた。それでもSR渋谷はフィニッシュが思うように決まらない。

そんなSR渋谷に対し、三河はギャビン・エドワーズと桜木ジェイアールがインサイドを制し6点リードで前半を終える。そして第3クォーターに入ると、前半は沈黙していた金丸晃輔が爆発する。「前半はボールに触れていなかったので、後半はまずボールに触ることから意識して、チームメートに『ボールちょうだい』という話をしました」と語るように、金丸は積極的にボールを呼び込むことで自らゲームの主導権を握った。

インサイドにパスを預け、周りの選手が足を止めずにスクリーンをかけてノーマークを作り出す流動的なオフェンスの中で、金丸は4本の3ポイントシュートを含む17得点をこのクォーターだけで叩き出した。

広瀬がタクトを振るうSR渋谷はフィニッシュに課題

SR渋谷は良いディフェンスで守り切っても、トラベリングやパスミスなどのターンオーバーでシュートを打つ前にポゼッションを失ってしまう。そうした悪いリズムの中で放たれるシュートはことごとくリングに弾かれ、失点を重ねるという悪循環に陥った。三河はこの第3クォーターを27-10と圧倒し、勝利をぐっと引き寄せた。

その第3クォーター最後のSR渋谷の攻撃の場面に注目したい。三河はセットオフェンスを簡単にやらせないように2つのファウルを使い、残り4秒からのスローインというシチュエーションに持ち込む。この抜け目のない作戦によってアールティ・グインにタフショットを打たせ、アイザック・バッツのブロックショットが炸裂。この時点で60-37と大差が付いていたにもかかわらず、鈴木貴美一コーチは徹底的にディティールにこだわった。この徹底ぶりこそ、三河が西地区首位に立ち続ける理由の一つだろう。

最終クォーターでは比江島を全休させ、金丸もお役御免とばかりに4分のプレータイムに留めた。ベンチプレーヤーも自分をアピールするチャンスとばかりに積極的にプレー。SR渋谷も意地を見せ得点を重ねるも、三河の優位を揺るがすには遠く、最終スコア71-58で三河が勝利した。

後半だけで19得点を挙げた金丸は「前半はどのチームもハードにやってくるので、そこで無理して打つ必要はないのかなという考えで、後半マークが緩んできたところで一気に攻め込むスタイルですね」と後半の大爆発を振り返った。

ケガ人の穴を埋めた比江島「自分なりのポイントガードを」

エドワーズが14得点と続き、バッツが11リバウンド(うちオフェンスリバウンド5)、桜木が8得点9リバウンド。「NBA出身選手が2人いるので警戒した」と鈴木コーチは言うが、三河の強力インサイド陣は要所できっちり仕事をやってのけた。

ポイントガードとして8得点6アシストとゲームを作った比江島は、試合をこう振り返る。「第1クォーターはうまくいかないことが多くて、でも第2クォーターから自分たちのペースになって、そこは我慢できたと思います。第1クォーターはガードを意識しすぎてうまくいかない部分もあったので、自分なりのポイントガードをやってコントロールできたらいいなと思います」

敗れたSR渋谷は広瀬が10得点2スティールを記録。起点を作るなど孤軍奮闘したが、チーム全体のシュート精度が最後まで上がらずシーズン2番目に低い58点というスコアで敗れた。もっとも、BTテーブスヘッドコーチが「前半は27点しか取れなかったのですが、三河も33得点で、ディフェンス面では自分たちの目的が達成できて良かったところ」と振り返るとおり、ロースコアゲームで三河の爆発力を抑えるゲームプラン通りではあった。

問題は第3クォーター。「特に金丸選手のところであれだけ決められては。やってはいけないミスを繰り返すと、こういった展開になる。それが一番の差だと思います」と三河との『ディティールの差』を敗因に挙げた。

「ケガとかいろいろなアクシデントはありますけど、それは理由にならない」と語る鈴木コーチは見事な采配で勝ち星をまた1つ上乗せた。ワイルドカード争い中のSR渋谷はリーグ再開後の1カ月半で4勝9敗と大きく負け越して勝率を下げているだけに、明日は相手が三河と言えども勝利が求められる。