福大大濠のゾーンプレスを突破できるか?
今年のウインターカップ決勝戦は福岡大学附属大濠(福岡)vs帝京長岡(新潟)というカードとなった。
福大大濠はインターハイ王者の中部大学第一(愛知)、昨年度のウインターカップ王者である仙台大学附属明成(宮城)らが集う過酷なトーナメントの山を勝ち抜いて、決勝戦まで勝ち上がってきた。
明成との大一番はポイントガードの岩下准平が次々とタフショットを沈めたことが勝因となった。「時間(ショットクロック)が少なくなっていく中で自分が3ポイントシュートを狙っていこうと思い、1本目、2本目と立て続けに来たので思い切って打ちました」と語った岩下は、9本の3ポイントシュート成功を含む38得点の大爆発を見せた。攻め手がなくなった際に抜群の勝負強さを発揮した岩下は「パスだけじゃなく、得点できるポイントガードだと思っている」ことを大事な試合で証明した。
今大会で福大大濠の最大の武器となっているのがオールコートのゾーンプレスだ。「湧川(颯斗)を1線目にしているところで縦パスは簡単にいかない。2線目に気の利くガードを入れていて、ちょっと浮いたパスや、見えないところからカットを狙う」と片峯聡太コーチが説明したこのゾーンプレスが勝負どころでことごとく機能し、開志国際(新潟)や中部第一を下してきた。明成戦では前半で最大16点のビハインドを背負う緊急事態となったことで、後半に温存していたゾーンプレスを第2クォーターから仕掛けた。結果的にこの選択も功を奏し、明成との死闘を制した。
一方の帝京長岡は、福岡県予選で福大大濠を退けた福岡第一を準決勝で破り、決勝まで進んだ。205cmの高さを誇る留学生、コネ・ボウゴウジィ・ディット・ハメードは福岡第一戦で24得点27リバウンド4ブロック、準々決勝の県立小林(宮崎)戦でも30得点30リバウンド5ブロックと、制空権を完全に支配してきた。ただ、福大大濠には明成戦で5ブロックを記録した200cmの川島悠翔や、193cmの湧川(3ブロック)、195cmの副島成翔(2ブロック)といった、ビッグマンがインサイドを固めている。そのため、大黒柱であるハメードがインサイドの争いでアドバンテージを生み出すことが勝利の絶対条件と言えるだろう。
そして、いつか必ず仕掛けてくるであろう福大大濠のゾーンプレスに対応する必要がある。帝京長岡の柴田勲コーチは「プレスを潜り抜けるだけでなく、こちらもオフェンスで仕掛けたい。ボール運びで引っかけられないようにしたいですがみんな引っかかっているので。なかなか難しいとは思いますけど、パスで繋ぎたい」と胸中を語った。福岡第一の激しいディフェンスを冷静に対処した帝京長岡であれば、強豪校がことごとく致命的なダメージを負った福大大濠のゾーンプレスを突破できるかもしれない。