福岡大学附属大濠

最終クォーターにプレスを仕掛けて一気に逆転

どんなトーナメントでも厳しい組み合わせは存在するものだが、これほど厳しいのは珍しい。夏のインターハイ王者、中部大学第一(愛知)は昨日の初戦で洛南(京都)と対戦。福岡大学附属大濠は初戦で開志国際(新潟)、2回戦で習志野市立習志野(千葉)と戦い、3回戦で激突することになった。

立ち上がりは両者とも力強いボールプッシュから速い攻めを展開するが、急ぐあまりディフェンスの分厚いペイントエリアに突っ込んで良いチャンスを作り出せず。その中で岩下准平と湧川颯斗がシュート力の高さを見せる大濠が先行するも、中部第一は田中流嘉洲が速攻を決めきり、積極的なアタックからファウルを誘ってフリースローで追う。下山瑛司から田中へのホットラインでイージーシュートのチャンスを作って中部第一が追い付けば、すぐに大濠が泉登翔の3ポイントシュートで突き放す。

こうして得点が動き出す中で、中部第一は田中が、大濠は湧川が早々に個人ファウル2つに。先行する大濠は湧川をすぐベンチに戻したのに対し、中部第一は得点でもリバウンドでも替えの利かない田中をコートに残す。その田中が下山からパスを引き出してフリースローで点差を詰め、208cmのアブドゥレイ・トラオレがリバウンドで存在感を発揮。それでも岩下が難しいシュートを決めきり8得点を稼ぎ出した大濠が、17-12と先行して第1クォーターを終えた。

32-32と同点で迎えた第3クォーター、大濠は中部第一の田中のインサイドプレーや坂本康成の3ポイントシュートを止めることができず最大7点のビハインドを背負ったが、激しいディフェンスから得点に繋いでいくことで44-46と2点差に詰めて最終クォーターを迎えた。

ここで、先の試合でも開志国際(新潟)を粉砕したオールコートプレスが再び炸裂する。片峯聡太コーチが「前半で10点、15点負けていたとしても、後半で(オールコートプレスを)仕掛けてモノにする自信はありました」と語ったように、193cmとサイズがありながらも機動力のある湧川を最前線に置くことで、相手のパスコースを塞いでいく。湧川が中部第一の下山に強烈な圧をかけ、慌てて出したパスを岩下がカットして、得点へと繋げていった。こうして最終クォーターの開始約4分間を12-2と圧倒し、最終スコア65-57で勝利した。

22得点8リバウンド4アシスト5スティールと攻守にチームを牽引した岩下は、勝利の要因となったプレスへの手応えを語った。「福岡第一戦が終わってから自分たちのオフェンスを重視するのではなくて、ディフェンスのプレッシャーやプレスの部分をしっかり練習してきました。プレスをすることで簡単なシュートに繋がるので、そこは自分たちの持ち味としてやっています」

そして、22得点と5リバウンド4スティールを挙げ、プレスのキーマンとなった湧川は「前半のファウルトラブルが反省です」としつつも、「後半は自分がチームを引っ張ってやると思って、その思いがプレスにハマったかなと思います」と振り返った。

昨年は3回戦敗退となった大濠は2年ぶりにセンターコートに立つ。湧川は「インターハイ王者を倒したのは自信になりますが、明日も試合があるので油断せずに、そして初めてのメインコートなのでしっかり自分のプレーを出していきたいです」と、明日の試合に向けて意気込みを語った。