相手の勢いに飲みこまれず、序盤のリードを最後まで守り切る
ウインターカップ男子2回戦で東山(京都)と前橋育英(群馬)が激突。終盤に東山の猛追を受けるも、43-18と圧倒した第1クォーターのリードを最後まで守り切り、前橋育英が97-91で勝利した。
東山の大澤徹也コーチが「4番の子にドドンとやられてしまった。彼のチームだと分かっていたんですけど、もう少し対策をしておけば良かった」と試合後に語ったように、久岡賢太郎が得点ラッシュを見せたこと前橋育英が大きく主導権を握った。
「自分でも調子が良すぎたと思う」と振り返るほどタッチの良かった久岡は、いきなり6本中5本の3ポイントシュートを成功させ、さらには巧みな1on1からペリメーターの難しいシュートも次々と決めていった。守備ではフィジカルなチームディフェンスで東山の得点源である西部秀馬や堀陽稀に仕事をさせない。こうして攻守が噛み合った前橋育英はこのクォーターで21得点の荒稼ぎを見せた久岡の活躍もあり、43-18のビッグクォーターを作り上げた。
それでも後半に入ると、オフェンスのリズムを取り戻した東山が反撃に転じる。前半は気合が空回りしていた佐藤友の3ポイントシュートで先制すると、連続で速攻を繰り出し、開始1分半で7-0と走った。こうしてオフェンスからリズムをつかんだ東山は、前半は簡単に縦に割られてしまっていたディフェンスにも粘りが出始め、球際の争いでも勝つようになり、そこから速い展開に持ち込んでいった。得意のハーフコートオフェンスで佐藤や西部の得点力が発揮され、キャプテンの堀陽稀が泥臭い部分でチームを鼓舞した。こうして、31-12の猛攻で点差を1桁に戻して最終クォーターに突入した。
その後は東山が決めれば前橋育英も決め返す、一進一退の攻防が終盤まで続いた。それでも、久岡が「追い上げられた時に焦りはあったんですけど、チーム全体でしっかり我慢できました。斎藤(優大)も空いたところで確実に決めてくれた」と語ったように、ピック&ロールからズレを作りノーマークのシュートを確実に沈めていったことで、前橋育英がリードを保つ。残り53秒、西部に3ポイントシュートを決められて3点差に迫られたが、その後の猛攻に耐え、同点に追いつかれることなく、序盤の貯金を守り切って勝利した。
東山の堀は、ロッカールームで泣き腫らしたであろう赤い目で「僕のマークマンにバカバカ3ポイントシュートを入れられてしまって、そこで流れを持って行かれたのが直接的な敗因になったと思う」と自分を責めた。そして、叶わぬことを承知で「最初からもう一度やりたい」と語った。
前橋育英は一つの山場を乗り越えた。久岡は「東山をまず倒そうと思ってやってきました。この調子で波に乗っていきたい」と、さらなる高みを目指していく。