「尽誠学園の粘りは卒業生たちが作ってくれた伝統」
ウインターカップ初日、尽誠学園(香川)vs県立一関工業(岩手)の一戦。尽誠学園の色摩拓也コーチが「今年のチームは例年に比べて力がなく、簡単に勝てるゲームは一つもないということは分かっていました」と試合後に語ったように、1ポゼッション差を争う接戦となった。
高確率で3ポイントシュートを決められ、高さのアドバンテージも生かせなかった尽誠学園は第1クォーターを12-19で終え、その後も追いかける展開が長く続いた。色摩コーチが「流れのつかみ方だったり、試合の持って行き方が上手くいかなかった」と表現したように、逆転に持って行くタイミングでの軽率なターンオーバーやゴール下を決め切れない場面が目立った。
それでも、結果的に尽誠学園の伝統である粘りが逆転勝利を呼び込んだ。最終クォーター開始4分半に逆転して以降もシーソーゲームが続いたが、澤田のこの試合23得点目となる3ポイントシュートが決まり、リードを5点に広げた。残り12秒に1点差に迫られたが、ラストポゼッションでタフショットを打たせることに成功し、76-75で逃げ切った。
色摩コーチは言う。「まくれる自信があったわけでもないんですけど、尽誠学園の粘りは卒業生たちが作ってくれた伝統だと思います。粘れるチームなんだよと後半にも言い続けました。どっちに転んでもおかしくないゲームでしたが、キャプテンの澤田(大夢)が頑張ってくれました」
最終クォーターに9得点を固め、勝利の立役者となった澤田も「最後まで粘ってディフェンスをすれば勝てると思っていたので、焦りはあまりなかった」と言い、ビハインドが続く中で冷静に勝機を探していた。また、「全国ではそこまで強くないと思っていたので接戦になるのは想定していました。競った時に対応できる練習をしてきたので、それが勝ちに繋がった」と、ゲームライクな練習を重ねた成果を強調した。
一方、県立一関の後藤靖宏コーチはインサイドのディフェンスの変化とゴール下の不利を覆すことができなかったことを悔やんだ。「アウトサイドを徹底して抑える我々のディフェンスに対して、インサイドを中心に攻めてくる時間帯があった。あの時にディフェンスの一工夫があれば、また変わっていたかなと。後半はリバウンドも含めてゴール下で不利な状態が続き、このような結果になってしまった」
激戦を制し、初戦を突破した尽誠学園。コーチ、選手ともにチームの力のなさを自覚しているが、自分たちの力を把握して対応できれば、この大会中にマイナスをプラスに変えることも可能だ。伝統の粘りでそのディスアドバンテージを減らし、高みを目指す。