我慢の展開を乗り越え、スティールからの速攻で幕
ウインターカップが開幕。2018年にベスト4に進出した県立津幡(石川)と、女子日本代表の宮崎早織の母校として知られる聖カタリナ学園(愛媛)が1回戦で激突した。
序盤は3ポイントシュートが高確率で決まった聖カタリナが先行したが、その後は持ち味である速攻と連動したハーフコートオフェンスの精度で上回った津幡が主導権を握った。
津幡はまずは目の前の相手を抜くという強気なメンタルで仕掛け続けることでオフェンス優位な状況を作り、強引にドライブに行くだけではなく、味方もその動きに合わせてペイント内での得点を積み重ねていった。また、オフェンスリバウンドに果敢に飛び込むことで高さの不利も埋め、53-43と2桁のリードを保って最終クォーターを迎えた。
聖カタリナの後藤良太コーチが「早く戻ってきてほしいと思っていたんですけど、時間がかかってしまった」と振り返ったように、選手たちは普段通りのプレーができていなかった。それでも、終盤の勝負どころになってプレスディフェンスが機能し、シュートも決まり始めたことで自信が蘇った。練習通りのプレーができるようになった聖カタリナは山本遥香のインサイドプレーが効果的に決まり、オフェンスリバウンドからのセカンドチャンスポイントも増えて猛追。残り1分12秒には瀧野彩春の3ポイントシュートで63-64と1点差に迫った。
残り32秒、津幡にボールを回され時間がなくなっていく中、聖カタリナはこの試合で25得点を許した東田凪沙にダブルチームを仕掛ける。このディフェンスがハマり、ボールを奪った樫本菜々花は迷わずボールをプッシュして、そのままフィニッシュまで持ち込んで土壇場で逆転した。残り時間は4.8秒、再逆転を狙う東田のミドルシュートを山本がブロックし、タイムアップを迎えた。
殊勲の働きを見せた樫本は「自分が行くしか方法がなかったので、絶対に決めてるやるという気持ちで行きました」と、決勝レイアップを決めたシーンを振り返った。
また、「相手のブレイクにやられてしまって、自分たちの流れが全然来ず、最後まで自分たちらしいプレーはできなかった」と反省を口にしたが、「泥臭いリバウンドとかルーズボールとか、気持ちの部分が勝因になりました」と、メンタル面で上回ることができたことを収穫に挙げた。
明日の2回戦は大阪桐蔭(大阪)を2点差で破った八雲学園(東京)と対戦する。樫本は「明日も八雲と厳しい戦いになるのは分かっているんですけど、最後は気持ちだと思うので気持ちでは絶対に負けません」と力強く意気込んだ。逆境を乗り越え、強靭なメンタルで初戦を突破した聖カタリナは目標であるメインコートに一歩近づいた。