レブロンも歓迎「戻って来てくれてうれしいよ」

アイザイア・トーマスのキャリアは、サンズからセルティックスにトレードされた2015年を機に一変した。175cmの身長からセカンドユニットの壁を破れなかったが、セルティックスではオフェンスのファーストオプションとなり、その得点能力が開花。3年目の2016-17シーズンにはキャリアハイの、そしてリーグ3位の平均28.9得点を記録した。サイズ不足を高い技術、屈強なフィジカル、折れない闘争心で補うトーマスは、誰もが認めるセルティックスのエースだった。

しかし、このシーズンのプレーオフの無理が心身ともに大きなダメージを彼に与えた。股関節を痛めながらプレーを続けたことで状態は悪化。そしてプレーオフ開幕直前に妹を交通事故で亡くし、それでもセルティックスのためにプレーしたにもかかわらず、敗退直後にトレードを通達された。新天地キャバリアーズで自分の価値を示すため、股関節の手術を回避したのも、ケガが長引く要因となった。以降の4シーズンで、彼はわずか72試合にしか出場していない。

その彼がレイカーズと契約を結び、NBAに戻って来た。健康安全プロトコル入りする選手が続出する状況を受けての10日間契約と待遇は良くないが、それでも彼にとっては待ちに待ったNBA復帰だ。

「2017年に妹を亡くして、そこからすべてが下り坂だった」とトーマスは言う。「何かをするように心が命じても、身体が言うことを聞かない。それはフラストレーションが溜まった。僕にとってはバスケットボールがすべてだ。初めての大きなケガで自分のプレーができなくなり、試合を楽しめなくなった」

アメリカ代表で若手に混ざって予選を戦い、Gリーグでプレーしながらチャンスを待っていた彼に、レイカーズから電話があった。彼はすぐさまロサンゼルスに飛んだ。「そのためにトレーニングをしていたからね。レイカーズで再びプレーできること、殿堂入りする選手やコーチングスタッフと一緒にバスケができるのは素晴らしいことさ」

レブロン・ジェームズは彼を歓迎し、こんなコメントを寄せている。「キャブズ時代にも一緒にプレーしたけど、当時はコンディションが良くなかった。今は股関節のケガも治ったみたいだし、戻って来てくれてうれしいよ」

優れたスキルとバスケIQを生かしたゲームメーク、そしてスポットシューターとしての能力が、今の彼の武器。以前のようにコートのどこからでも自由自在にアタックできる異能のプレーは出せないが、ティンバーウルブズ戦では19得点、ブルズ戦では13得点と、そのオフェンス能力は示すことができた。

まだ立場は安定していないが、Gリーグよりもレイカーズのほうが、復活のアピールには何倍もの効果がある。「前にも言ったけど、僕はバスケが大好きで、それは何があっても変わらない。このチームを助けられるなら、どんなチャンスでも、どんな方法だってやるよ。自分にできる限りのことを、笑顔でやるつもりさ」