序盤の連続バスケット・カウント、一人で劣勢を覆す
9月13日、ワールドカップ2次予選に挑んだバスケットボール男子日本代表は敵地でカザフスタンと戦い、85-70の快勝を収めた。渡邊雄太にとっては久々となる代表復帰戦で、八村塁に次ぐ17得点を挙げて周囲の期待に応えた。「本当に負けられない試合、勝つことが大事でした」と、本人は何よりも結果が出たことに安心したようだ。
試合序盤は相手の先行を許した日本代表だが、渡邊がドライブから日本の初得点を記録すると、連続バスケット・カウントを含む立て続けの得点で劣勢ムードを一人で払拭した。渡邊のこの一連のプレーが試合のターニングポイントだったのは間違いない。「ああいう場面こそ、僕が託されなきゃいけない。最初から攻め気で強い気持ちでやれたのが、良い結果に繋がったと思っています」と渡邊は振り返った。
渡邊が内外から得点を量産したことで、カザフスタンのディフェンスの意識が渡邊に集中し、そこから日本のオフェンスは活性化した。ただ彼はそこに満足せず、より高いパフォーマンスを自分自身に課している。「僕へのディフェンスが厳しくなり、そういった意味では周りをプレーしやすくできたと思います。でもあれ以降、決めなきゃいけないシュートを外したり、ディフェンスで相手のエースを任されていたんですけど簡単にやられたりとか、今のチームで僕がそういうことをやっちゃいけないと思っています」
試合直後には自身のパフォーマンスを『最悪』という言葉で語った渡邊。その真意をこう説明してくれた。「17点という得点だけを見たら悪くはないです。でも正直、自分の中でこんなところで満足してちゃいけないんだって意味も込めて『最悪』だったと思います」
「日本代表は強いな、って感じました」
快勝ではあったが内容には課題も残るカザフスタン戦。渡邊は自分自身には厳しい評価を下したが、チームの出来についてはまずまずの手応えを得ている。
「最初の2、3分を除けば、ほぼ40分を通してハードにディフェンスできていたと思います。それが日本の強みだと思いますし、ディフェンスからしっかり走って、ダンクも連発しました。こういうバスケットを自分たちより背が高かったり、身体の強い相手にやっていかなきゃいけない。そういう機動力を前の試合でしっかり見せられたのはかなり良かった」
ディフェンスからの『走るバスケット』でカザフスタンを退けたが、「強豪相手に同じパフォーマンスで勝てるかと言ったら、それは厳しいんじゃないかと僕は思っています」と渡邊は警鐘を鳴らし、さらなる連携面の向上が必要と訴えた。
「連携の部分で上手くできてなかった部分、塁も含めて多分あると思うんですけど、今回の試合である程度どういう動きがチームに合うのかを自分の中で知ることができました。まだ2日間練習できるので、やれることは全部やり切ってもっと組織として高めていきたいです」
17日には日本のホーム、大田区総合体育館にイランを迎える。カザフスタンより格上のアジアの強豪を撃破するためのポイントを、「前回はターンオーバーが多かったのでそれをなくして、チームとして前回できていたディフェンスの部分を継続する」と渡邊は語る。
「そうすれば本当に勝てると思います。イランは本当に強いチームですけど、自分たちもカザフスタン戦を通して『日本代表は強いな』って感じました。僕と塁が帰ってきて負けは許されない、そう僕は思っているので、とことん勝ちにこだわります」