「このバスケがどれぐらい通用して、どれぐらい結果が出るのか」
バスケットボール男子日本代表は東京オリンピックを終えて、フリオ・ラマスからトム・ホーバスへと指揮官を代える新体制でスタートした。
11月27日、28日に行われるワールドカップ予選のWindow1に向けた強化合宿に参加しているメンバーの中で、2019年のワールドカップと東京オリンピックの両方を経験した選手は、比江島慎とシェーファー・アヴィ幸樹の2人しかいない。シェーファーは「オリンピックが終わって、次のステージに入る時に呼んでもらえてプレーできるというのは、自分自身うれしく思います。すごく楽しみです」と、指揮官が代わっても代表に呼ばれた喜びを語った。
代表での経験を着実に積んでいるシェーファーだが、まだ23歳の若手だ。今回の代表候補選手の中には同世代の選手も多く「前回と選手はかなり変わっているので、そういう意味では同世代の選手が増えてうれしいというか、やりやすい気持ちもあります」と言う。
それでもシェーファーには、代表で培ってきた経験があり、それと同時に責任感も持っている。「同世代の選手が多くなったとはいえ、僕はすでに代表で長いことプレーしていますし、ワールドカップとオリンピックを経験させてもらっています。そこは先輩としてじゃないですけど、しっかり自分の経験を還元できるように、チームの中でもっと存在感を出していけるようにとは思っています」
ホーバスコーチは、スピードと3ポイントシュートを生かした速いバスケットを目指している。それは女子日本代表を東京オリンピックで銀メダル獲得へ導いたスタイルと同じだ。シェーファーはホーバスコーチのバスケットについて「すごく展開が速くて3ポイントシュートを多く打つ。そして相手をかき乱すディフェンスをするので、すごく面白いバスケだなと思います」と言うと、こう期待を語った。
「女子で実際に結果を出していますし、男子でこのバスケがどれぐらい通用して、どれぐらい結果が出るのか、すごく楽しみなところがあります。自分自身、ビッグマンの中では動けますし、3ポイントシュートの練習はしているので、そういう意味ではトムさんのバスケットをできると思っているのですごく楽しみなバスケットです」
「この合宿ではすごく頭を鍛えている」
ホーバスコーチは1番から5番まで、選手全員に3ポイントシュートを求める指揮官だ。
シェーファー自身、滋賀レイクスターズでプレーした2019-20シーズンは3ポイントシュートの試投数がシーズンを通して1本のみだったのが、翌2020-21シーズンには103本にまで増え、今シーズンも14試合消化時点ですでに38本(成功率31.6%)を放っているだけに、代表でも彼の3ポイントシュートは期待ができる。
3ポイントシュートだけでなく、ホーバスコーチのバスケットはフォーメーション数も多く、どの選手も合宿当初は「覚えることで必死」と語るほどだ。シェーファーもその大変さを感じつつも、「すごく頭を鍛えている」とうれしそうに語った。
「この合宿ではすごく頭を鍛えている感じがしています。今までいろいろなコーチに指導してもらったので、僕自身いろいろな知識は持っていますが、トムさんのはプレーもすごく多くて、頭をすごく使う練習が多いです。そういう面でプレー中もすごく考えて、自分が次はどういう動きをすべきなのか、周りに合わせてどう動くのか、とより頭を使わなきゃいけないので、すごく今は鍛えられています。自分自身、そういうバスケットIQや考え方は磨いていかなきゃいけないと思っていたので、すごくためになっています」
もともと身体能力が高く、動けるビッグマンとして持ち味を発揮していたシェーファーにとって、ホーバスコーチの速いバスケットはよりその力を生かすことができそうだ。さらに、今以上に3ポイントシュートとIQ面の磨きがかかった時は、彼がどんな選手になるのか。まだまだ伸びしろたっぷりのシェーファーの今後の成長に期待したい。