ザック・ラビーン

アレックス・カルーソの欠場を機に攻守のバランスが崩れる

今シーズンここまで魅惑のバスケでサプライズチームとなっているブルズが、ペイサーズを相手に77得点しか奪えず77-109の大敗を喫した。連戦の2日目でケガ人も出たのでは無理もない。30点近くのビハインドで第4クォーターを迎えると、主力はもうプレーしなかった。

パトリック・ウィリアムズが先月末に左手首の靭帯断裂で長期離脱となり、ニコラ・ブーチェビッチは新型コロナウイルスの陽性反応が出てチームを離れている。ブーチェビッチが抜けた後も4勝2敗としぶとく勝ちを重ねてきたのだが、ここに来てアレックス・カルーソがもともと痛めていた手首を悪化させて欠場となり、これでチームのバランスが崩れてしまった。

ブーチェビッチを欠いたことでハーフコートオフェンスのバリエーションがなくなり、ブルズはトランジションに特化したチームになっていた。そこでのカギはディフェンスで、思い切り良く狙うスティールも、相手ビッグマンを封じ込めるダブルチームもカルーソが担う部分が大きかった。カルーソの欠場でその両方を失い、相手のサイズにやられ、守れないことでトランジションも出せなくなった。この試合でのブルズはファストブレイクで7得点しか奪うことができなかった。

ハーフコートオフェンスばかりになると、ブーチェビッチ不在が隠せなくなる。デマー・デローザンとザック・ラビーンのアイソレーションに頼りすぎて攻めが単調になった。

そしてペイサーズはこのブルズの泣きどころを容赦なく突いた。ドマンタス・サボニスとマイルス・ターナーが高さと強さを生かしてペイント内を蹂躙し、攻守両面でペイサーズに優位な状況を作り続けた。

試合後、ブルズ指揮官のビリー・ドノバンは「実際のところ、アレックスがいればどれだけ違ったかは分からない」とカルーソ不在について語る。「ディフェンスは十分ではなく、シュートも打てなかった。オフェンスでもディフェンスでも、ペイサーズが明らかに我々を上回っていたんだ。アレックスがいても、一人ですべてを補うのは難しかったはずだ」

「今日は我々がやりたい基準や期待に満たなかった。こういう試合も時には起きる。それがチームを成長させるきっかけになってくれれば素晴らしいことだ。より良いチームになるにはどうすればいいのか、我々は考え続けなければならない」

カルーソの手首は重傷ではないが、もともと痛めて無理をして悪化させただけに、今回は慎重になるだろう。ブーチェビッチは隔離が明けて、復帰が秒読み段階となっている。そのブーチェビッチについてラビーンはこう語る。「彼はウチのメインピースの一つだから、早く戻って来てほしい。彼が戻ってくればサイズの不利はなくなるし、ケミストリーも復活するだろうからね」

開幕から華やかなバスケで注目を集めてきたブルズだが、一つ噛み合わなくなると立て直せない脆さを見せた試合となった。プレーオフに進出し、勝ち上がっていくために、この脆さを克服するチーム作り、戦い方を熟成させることが求められる。