「こういった経験はシーズンの最後に生きてくる」
11月14日、琉球ゴールデンキングスがホームで群馬クレインサンダーズを迎え撃った。ともに故障者続出で実質プレーできるのが琉球は9人、群馬は8人で迎えた一戦は、前日に大量100失点で敗れた琉球が、インテンシティを取り戻しての堅守復活で102-65と圧勝。見事にリベンジを果たした琉球は11勝3敗、群馬は6勝8敗で約3週間に及ぶリーグ中断を迎えている。
琉球は前日、第1クォーターで35失点と好き放題やられてしまった反省を生かす。「ここ何試合か、ケガ人が出たこともありボールプレッシャー、ディナイの強度が落ちているところはありました。それを上げていって、疲れたらすぐに交代をして戦うと伝えました」という、桶谷大ヘッドコーチのリクエストに琉球の選手たちはしっかりと応えた。
最初から激しいディフェンスを仕掛け、群馬の持ち味であるトランジションオフェンスを封じる。そして、スタートにドウェイン・エバンス、アレン・ダーラム、小寺ハミルトンゲイリーを同時起用するビッグラインナップで生まれたサイズの優位を生かしたゴール下へのアタックでスコアし、23-8で第1クォーターを終えた。
第2クォーター、群馬はトレイ・ジョーンズが個人技で状況を打開しようと試みるが、琉球は今村佳太がこのクォーターだけで3ポイントシュート4本中3本成功、チーム全体でも7本中5本成功と、長距離砲を効果的に沈めて流れを渡さない。引き続きインテンシティで群馬を圧倒することで、次々とイージーシュートのチャンスを作り出すと、前半終了時にはリードを26点にまで広げた。後半に入っても琉球は群馬に付け入る隙を全く与えずに楽々と逃げ切った。
琉球の桶谷ヘッドコーチは「第1クォーターで8点に抑え、相手にフラストレーションが溜まって自分たちがゲームを支配できたと思います」と勝因を語る。そして、田代直希の全治10カ月となる膝の負傷、ジャック・クーリーのウィルス性肝炎など離脱者続出の中でも11月を4勝1敗で乗り切り、西地区首位でブレイクを迎えたことを次のように振り返る。
「正直、アルバルク(東京)さんとの開幕ゲームに川崎(ブレイブサンダース)さん、(シーホース)三河さんとの対戦があって序盤はかなりきついと思っていました。それを選手たちに伝え危機感があった中、接戦を勝ってきたのは大きな財産です。昨日の負けにしても今の状況で20点のリードを許した中で、一度は追いついてひっくり返せました。こういった経験はシーズンの最後に生きてくる。首位にいるだけでなく、こういった経験を共有できているのは大きいです」
そして指揮官はエバンスも欠き、外国籍はダーラムのみでプレーできるのが8名の中、74-72で勝利した11月10日の三河戦について特に言及した。
「三河さんにあの状況で勝てたのがかなり大きいです。僕たちにとっては(同じ2勝1敗でも)三河さんに負けて群馬さんに連勝するより、三河さんに勝って群馬さんと1勝1敗の方が良い。タイムコントロールをして、最後に三河さんに逆転勝ちできたのはこれからのシーズンの行方を左右する今の勝率以上に大きなものがあると思います」
「このような失望した試合を教訓にする必要があります」
一方、群馬の指揮官トーマス・ウィスマンは、「出だしから全く戦う姿勢を見せることができなかった悪い試合でした。昨日、自分たちが勝って、相手は死にもの狂いで戦ってくることが分かっていたのにファイトできず、ズルズルといってしまいました」とメンタル面の準備不足を最大の敗因に挙げる。
前日、群馬はオンドレイ・バルヴィン、笠井康平が負傷し、この試合は8名のみの戦いを余儀なくされた。しかし、ウィスマンはこう言い切る。「今日の敗戦については言い訳をするつもりはありません。琉球も同じように故障者が多かったです、彼らは強い気持ちを出して戦いましたが、私たちはそうではなかったです」
開幕節で宇都宮ブレックスを相手にアウェーで衝撃の連勝スタートを切り、シーズンの約4分の1を終えた段階での6勝8敗はB1昇格初年度のチームとしては、過去最高の内容だ。しかし、群馬が目指すのは昇格1年目の最高成績を挙げることではない。
「昨日リーグベストのチームから勝てたのは収穫です。これを2試合続けていかないといけない。これまでの厳しい試合、敗戦からしっかりと学んでよりタフなチームになっていかなければいけないです。このような失望した試合を教訓にする必要があります」
これから上位戦線に絡んでいくには、ウィスマンが語るようにこの大敗を故障者続出のせいにしてはいけない。「不幸中の幸いでブレーク明けには、故障者は全員がおそらく復帰できる印象です」と、次のリーグ戦にはベストメンバーで臨める見込みだ。バイウィークは同一カードで連勝するために何が必要なのかじっくり見つめ直せる貴重な時間となる。