ブラッドリー・ビール「楽しんでいるけど、謙虚だし勝利に飢えている」
ウィザーズがセルティックスとのダブル・オーバータイムの激闘を制し、5勝1敗とリーグトップに躍り出た。
ラッセル・ウェストブルックを放出し、トレードで手に入れたのはカイル・クーズマ、モントレズ・ハレル、ケンテイビアス・コルドウェル・ポープといったユーティリティプレーヤーたち。『ビッグ3』という言葉で表現されるように、複数のスター選手を組ませてコアを作るチーム作りが主流のNBAでは珍しい形だ。それでもリーグ屈指の得点力を持つブラッドリー・ビールを中心に据え、その周囲を優れた選手で固めるスタイルは、新戦力が多いにもかかわらず開幕から機能している。
ビールが36得点を挙げたのに加え、ハレルとスペンサー・ディンウィディーがそれぞれ20得点、クーズマが17得点を挙げた。八村塁はいまだ不在で、ダニエル・ギャフォードがケガで2試合連続の欠場となった。インサイドの穴を埋めたのは17リバウンドのクーズマと14リバウンドのハレルだった。最初の48分間でほとんど点差が離れない大接戦の展開は、2度の延長になっても変わらなかった。
2度目の延長に入り、デニス・シュルーダーのドライブを止めに行ったハレルがファウルアウトに。ディフェンスの要として奮闘していた彼の退場はチームにとって致命傷になりかねなかったが、代わって入ったダービス・ベルターンスがタフな守備を見せる。「高い打点から放つ3ポイントシュートは脅威でも守備はソフト」という評価を覆す働きは、新たなチームメートの奮闘に触発されてのことだろう。
先発して41分出場ながら得点は2に終わったコルドウェル・ポープもディフェンスで奮闘。3点リードで迎えたラストプレーで、それまで34得点を挙げていたジェイレン・ブラウンにシュートを打たせず、彼がボールを奪い取ったシーンで大混戦は締めくくられた。
ヘッドコーチのウェス・アンセルドJr.は「どの試合でも誰かがステップアップしてくれる。我々がそうならなければならない姿になっている」と選手たちの奮起を誇る。ブラッドリー・ビールの爆発的な得点力に依存するチームは過去のものとなり、チームは勝ち始めている。
ビールは46分間の出場で両チームで最多の36得点。それでも彼にとっては、チーム全員で接戦をモノにする勝ち方こそが評価できる点だ。「コートに立つ全員が力を発揮している。僕たちはお互いを信頼してディフェンスし、そこから走っている。それが5勝1敗と好調の理由だと思う」と語る。
「僕たちは今、チームのカルチャーを作っているんだ。カルチャーがどんなものであるべきかをシーズンの始めに話し合った。ロッカールームにいる15人のメンバーがお互いに責任を持ち、コートに出れば一つのチームとして、一丸となって戦う。そういう雰囲気を作るんだ。でも実際のところ、僕たちはただ楽しんで、日々お互いのことを知っては受け入れている。今の状況は素晴らしいものだと思う。楽しんでいるけど、謙虚だし勝利に飢えている」