「モヤモヤとした試合を勝ち取ることができたら、今後に向けて大きかった」
琉球ゴールデンキングスは、ホームに川崎ブレイブサンダースを迎えた2連戦を1勝1敗で終えた。初戦はリバウンドを制圧し、トランジションからのインサイドアタックで得点を量産する理想的な展開で105-86 と圧勝。しかし、ファウルトラブルに苦しんだ2戦目は、守備を立て直した川崎に対しオフェンスでリズムに乗れずに69-73で敗れた。
琉球の岸本隆一は初戦で17得点、2試合目で13得点を記録。持ち味の3ポイントシュートは合計で16本中8本成功と、シュート確率が低調だった前節のシーホース三河戦からしっかりとカムバックを果たした。
ただ、本人としては敗れた2試合目のミスが大きな反省材料で、試合後にこう振り返る。「ターンオーバーはこういうクロスゲームになった時は、ダイレクトに勝敗に直結します。今日は自分もターンオーバー4つと、良い雰囲気でバスケットをさせられなかったのは責任を感じています」
当然だが、苦しんだ中でも試合に勝てるのが理想だ。しかし、今の琉球は結果とともに、より良いチームでシーズン終盤を迎えるためにも様々なラインアップを試し、いろいろな経験を積むことを重視している。この観点で言うと、2戦目も敗れたとはいえ「悪いなりに自分たちで立て直してゲームを進められたので良かった側面もあります」と岸本が言及したように収穫もあった。
桶谷大ヘッドコーチも悪い流れで踏ん張れたことにはポシティブだ。「今日は絶対に楽な試合にならない。展開として勝てるならロースコアのゲームになると思っていました。その中で、どれだけ自分たちが我慢できるかにチャレンジしたかった。第3クォーターにファウルが混んでしんどい状態になりましたが、そこでタイムアウトを一つだけと我慢して第4クォーターに入れたのは、すごくチームとして大きかったです」
一方で指揮官は課題を続ける。「重たい雰囲気で逆境になった時の判断力が課題です。今日みたいなゲームができたことをプラスにしていきたい。この負けから学んで成長していくことが大切です」
岸本は「悔しさというより、もったいなかった感覚です」と敗戦への思いを明かす。「自分のターンオーバーは別の問題としてしっかり反省しますが、こういう乗り切れないモヤモヤとした試合を勝ち取ることができたら、今後に向けて大きかったと思います。チームとしてより良いきっかけになり得たかもしれないので、もったいない意識が強いです」
「ゲイリーが出ている時は、より自分が貪欲にスコアを狙いにいかなければ」
上記のような収穫と課題に加え、今回の2試合で印象に残ったのは小寺ハミルトンゲイリーの存在だ。自らシュートを打つことは皆無だが、フリースローライン付近でボールを持つと、抜群の視野の広さとパスセンスで味方のシュートチャンスを作り出す。試合を重ねることで、よりボールムーブを活発にさせる潤滑油としての活躍が目立っている。
岸本は小寺の存在をこう語る。「ゲイリーが入ってくると全く違うペースになります。彼が出ている時は、より自分が貪欲にスコアを狙いにいかなければいけないと感じました。ゲイリーにもっと使ってもらうというより、彼のパスの技術を利用して、よりアクティブに動くようにしていきたい。いろいろなアプローチを増やした方が良いと思うので、しっかり彼との連携を重ねていきたいです」
開幕戦でアルバルク東京に連勝した後、琉球はシーホース三河、川崎相手に2週続けて初戦を制するも、2試合目を落としてしまった。2試合目に失速したのは課題だが「負けから何を学んでより強くなっていけるかが大事」と岸本が強調するように、敗戦によって鮮明に見えてくる成長のヒントもある。例えば開幕6試合を終えて、エースのドウェイン・エバンスが1桁得点に終わった2試合は両方とも敗れている。ここからチームをどのようにステップアップさせていけるのか、まずは週末に行われる富山グラウジーズとの初戦が楽しみだ。
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