文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

昨日の最多記録を更新、満員のアリーナで白熱の試合展開に

たくさんの立ち見客で埋め尽くされた昨日の一戦は巧みなゲームメイクを見せた田臥勇太の活躍もあり、栃木ブレックスの快勝に終わった。そして今日、前日に記録した過去最多を更新する6023人の観客で船橋アリーナは満員にふくれ上がった。

序盤は一進一退の攻防が続く。栃木は古川孝敏のドライブからライアン・ロシターの合わせで先制し、ピック&ロールでノーマークとなった竹内公輔のミドルシュートなどで得点を重ねる。

対する千葉は富樫勇樹が高速ドライブで相手を抜き去り、ヘルプが来たところでパスをさばく。小野龍猛、タイラー・ストーンの3ポイントシュートをアシストして流れを渡さない。また栃木の多彩なパス回しで崩されるものの最後のシュートのところでヒルトン・アームストロングのブロックショットが飛び出し失点を防いでいく。

富樫のワンドリブルからのストップ3ポイントシュートに対し、ジェフ・ギブスのパワフルなバスケットカウント、スクリーンプレーから抜け出した田臥のバックシュートなど互いに素晴らしいプレーの応酬。実に9度もリードが入れ替わり白熱したシーソーゲームとなった前半は、34-32と栃木の2点リードで終了した。

後半、最初のポゼッションでストーンのダンクが飛び出し同点に追い付くと、続けて富樫の技ありフローターシュートが決まり千葉が逆転に成功。勢いに乗った千葉がアグレッシブなディフェンスで主導権を握る。

栃木は相手のディフェンスに苦しみながらも要所で渡邉裕規が3ポイントシュートを沈め、ロシターの個人技と竹内のインサイドで追撃する。

56-51と千葉がリードして迎えた最終クォーターの開始30秒、ギブスが自ら持ち込んで強烈なボースハンドのダンクを見舞い56-53と、栃木がワンポゼッションに迫る。このダンク、あまりの破壊力にゴール上のショットクロックを壊し、レフェリータイムで一時試合は中断となった。

一度狂った歯車を修正できず、ワンサイドゲームに

再開後、千葉を待っていたのは悪夢のような時間だった。マンツーマンからゾーンディフェンスに切り替えた栃木を攻めあぐねシュートが決まらない。ディフェンスからリズムを作った栃木が、古川と渡邉のそれぞれ2本の3ポイントシュート、ギブスのパワープレーを止められず、逆転を許すとそのまま一気に2桁まで引き離される。

オフェンスの立て直しを図り、活路を見いだそうとするがパスは外を回るだけで、シュートもアウトサイド一辺倒に。ターンオーバーも重なってさらにリードを広げられる悪循環に陥ってしまった。こうして千葉はなすすべなく4クォーターを36-13で落とし、シーソーゲームから一転し87-69で栃木に連敗となった。

試合後、栃木ヘッドコーチのトーマス・ウィスマンは「第4クォーターはシュートが入りだし、ようやく本来の確率に戻ってきた」ことと「ゾーンディフェンスを武器として信じてやりきれたこと」を勝因に挙げた。

栃木は前日に続き、田臥のゲームメークから多彩なオフェンスを展開。指揮官が指摘したようにシュート確率が上がらず苦しい時間帯があったものの、ロシターの19得点を筆頭に、古川17得点、ギブス15得点、渡邉14得点、竹内12得点と5人が2桁得点をマークした。

千葉の大野篤史ヘッドコーチは「オフェンスがうまくいかなかった時にディフェンスも頑張れなくなってしまった」と終盤の展開を悔やんだ。また多くのブースターの声援に応えられなかったことに「40分間戦い続けられるチームにしていく」と語った。

田臥vs富樫の新旧ポイントガード対決で注目を集めた戦いは栃木の2連勝で幕を閉じた。両チームのブースターの応援合戦は会場を盛り上げ、選手たちの背中を押し、名勝負を演出した。さらには試合後に健闘を称え合い、互いにエールを送った光景は今後のBリーグの未来を明るいものにするものだった。