ケイド・カニングハム

ドラフト1位の才能に頼らない、チーム全体の成長が必要

201cm100kgのビッグガードにして、スキルと戦術力を併せ持った万能選手であるケイド・カニングハムをチームの核として迎え入れることができたピストンズは、本格的に再建を始めることになりました。この1年間で多くの選手を入れ替えてきた結果、昨年のドラフトで7位指名したキリアン・ヘイズがチームで一番の古株となっており、すべてを一新して臨むシーズンです。

サマーリーグでのカニングハムは、爆発的な得点能力ではなく、一つひとつのプレーで最適な判断をしていくことを重視したスマートなプレーを見せていきました。ディフェンスでもコートを見回してスペースを埋めていく動きを見せ、総合力の高さを感じさせています。一方で強烈な個人技からプレーメークしていくタイプではないだけに、ドラフト1位の才能に頼るのではなく、チーム全体で成長していく必要があります。

カニングハムだけでなく、2年目のヘイズ、サディック・ベイ、アイザイア・スチュワートと有望株を並べたものの、NBAレベルで圧倒できる個人能力には欠けているのも事実です。特にフランスから来たヘイズはアメリカのバスケットに適応するのに時間がかかっています。驚くようなパスセンスを発揮する一方で、自ら得点しなければいけないシチュエーションでのミスが多く、改善すべき課題が残されています。昨シーズンは欠場が多く、26試合しか出場していないだけに、経験を積んで成長を重ねていくことがシーズンの目標となります。

勝利よりも成長を重視することになりますが、同時にカニングハムという選手を中心にした時に、どのようなチーム構成が正しいのかの回答も試合を重ねる中で見いださなければいけません。ジェレミ・グラントが引き続きエースとして得点を牽引することになりそうですが、ハミドゥ・ディアロやジョシュ・ジャクソンといった若いウイングもいれば、トレイ・ライルズやケリー・オリニクといったシュート力のあるビッグマンも揃えてきました。ガードを中心にしながらも、ウイングから得点してくパターンを狙っていそうです。

ピストンズ

ディフェンスを弱点とする選手がいないのも特徴で、まだまだ時間がかかるであろうオフェンスよりも、まずは全員が奮闘するディフェンスをカラーにした戦い方を前面に押し出すことになるでしょう。昨シーズンも失点はリーグ10位と、チーム成績が上がらない中でも健闘しており、アグレッシブにプレッシャーをかけていくディフェンスが一番の見どころになりそうです。

大物ルーキーを獲得したとはいえ、勝てるようになるには時間が必要です。あるいは、そんな予想を大きく上回るほどにカニングハムがチームを引っ張ることができるのかどうか。カニングハムにはピストンズの未来を託すだけの才能があることは間違いないだけに、結果を問わず期待したくなるシーズンです。