ブルズ

オフェンスとディフェンスの役割が明確にと分かれたロスターに

デマー・デローザンとロンゾ・ボールを加え、ザック・ラビーンやニコラ・ブーチェビッチと並ぶ豪華戦力を揃えたブルズは、東カンファレンスの注目チームになりました。ジミー・バトラーを放出した2017年オフから若手を集めて再建を図ってきたものの、思うような結果が得られない低迷期が長かっただけに、『勝負のシーズン』となった今回は極めて重要となります。

ラビーン、デローザン、ブーチェビッチと20得点を期待できるスコアラーが3人揃ったことになりますが、いずれも強引に仕掛けていくタイプではなく、それぞれのチームでプレーメーカーだっただけに機能不全を起こすことはなさそうです。特にデローザンとブーチェビッチはそれぞれラマーカス・オルドリッジ、エバン・フォーニエと、似たようなタイプの選手とコンビを組んできただけに、スムーズな連携を期待したいです。

走力の高いラビーンにとっては、トランジションで抜群のパスセンスを発揮するロンゾとコンビを組めることは、より鮮明に特徴を発揮することにも繋がります。昨シーズンのロンゾはビッグマンの多いペリカンズの事情もあって5.7アシストに留まりましたが、この数字も上がってきそうです。

しかし、相性の良さそうな大型補強を実現したにもかかわらず、ブルズの前評判は高くありません。その理由はディフェンスの苦手な選手を揃えたことにあり、期待するほどの勝率には届かない気もします。特にビッグマンの層が薄く、インサイドの戦いでは常に劣勢を強いられることが予想されます。

ブルズ

ただ、ブルズはベンチにウイングのハードワーカーを増やす動きをしてきました。トレードでデリック・ジョーンズJr.を獲得し、スタンリー・ジョンソンやアリゼー・ジョンソン、トニー・ブラッドリーなど、主力とは言えないながらもエネルギッシュなプレーをする選手を加えたのです。ロンゾやアレックス・カルーソのディフェンス力と合わせて、アグレッシブなプレッシャーディフェンスからのトランジションバスケを志向するのでしょう。

また2年目のパトリック・ウィリアムズは驚異的なディフェンダーになれる素材です。このチームではオフェンスの役割が少なくなりそうなだけに、よりディフェンスに特化した役割を与えられることで化けるかもしれません。ウィリアムズへの期待があるからこそ、オフェンスを重視した補強に動けたという見方もできるくらいです。

ブルズはオフェンスとディフェンスの役割が明確にと分かれたロスターを作ってきました。このロスター構成で攻と守のタレントが噛み合うのか、それとも悪い面ばかりが目立ってしまうのか。このバランスが成績を左右しそうです。これだけの補強をしたからにはプレーオフ進出は最低限のノルマ。ここからどこまで成績を伸ばせるのか、結果を追い求めるシーズンになります。