田臥勇太

文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

久しぶりの実戦「出ても出てなくても、楽しいです」

アーリーカップ関東大会、ホストチームである栃木ブレックスは千葉ジェッツを撃破し、決勝進出を果たした。

田臥勇太は先日行われたプレシーズンマッチに出場しなかったため、昨日の試合が今シーズンのお披露目となった。まだコンディションを作っている段階のためプレータイムは4分42秒にとどまったが、どこかにケガを抱えていることもなく、仕上がりは「例年通り」と順調だ。

「シーズンに向けて調整しながら、その辺はヘッドコーチやチームに理解してもらいながらやっています。その分、誰が出ても戦えるチームを目指すには、こういう試合というのは良い機会だと思いますし、僕は僕でやることをしっかりやってチームのためになるようにやっていきたい」と田臥は話す。

2004年に日本人初のNBAプレーヤーとなってから14年が経ち、田臥は来月のリーグ開幕前日に38歳となる。人一倍コンディション調整に気を遣う田臥は、長いシーズンを戦い抜くための準備を抜かりなく進めている。準備段階である今、プレータイムを制限することは当然のことだ。

それでもブレックスアリーナを埋めるファンが作り出す熱気や、コートで躍動するチームメートの姿を見て、田臥は試合に出たい衝動に駆られたという。「ファンの方が素晴らしい雰囲気を作ってくださっているので、試合はしたくなります。それは当然のことです」

田臥勇太

チャレンジャーの気持ちを持って先に繋がる試合を

コートを取り巻く雰囲気に刺激される感覚は、どれだけ年齢と経験を重ねても色褪せない。田臥は「こういう興奮、ワクワク感は、プレシーズンであってもうれしいものです。試合に出ても出なくても楽しいです」と、心底楽しそうな笑顔を見せた。

もちろん、プロであるからには『楽しい』だけでは済まされず、自分に課せられた役割を果たすつもりだ。「本当にレギュラーシーズンみたいな雰囲気作りをしてくださっているので、自分たちも精度を上げて、『応援したい』と思ってもらえるようなチームを作っていかないといけないと感じました。そういう意味では気が引き締まるというか、自分としてもそういうプレーをできるように準備していかなきゃいけないなって、あらためて思いました」

今日はアーリーカップの大会最終日。優勝を懸け、昨シーズン王者のアルバルク東京との対戦が待っている。「今日の試合で良かった部分、反省しないといけない部分をしっかりとチームで振り返って、(安齋竜三)ヘッドコーチも言ってましたけど、チャレンジャーの気持ちを持って先に繋がる試合をしたいと思います」と田臥は抱負を語った。

日本代表選手を欠きながらも、昨シーズンのBリーグを制した、激しいディフェンスと完成度の高いチームプレーでサンロッカーズ渋谷に圧勝したA東京。栃木がチームの『現在地』を知るにはこれ以上ない相手だ。

栃木とA東京が激突するアーリーカップ関東大会の決勝戦は、ブレックスアリーナで16時ティップオフとなる。

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